診療看護師(NP)

AI(人工知能)と診療看護師(NP)の今後(未来)

結論

診療看護師(NP)は、医師不足を補うという点も導入のポイントであった

医師の知識(診断や治療)の側面に関しては、AI(人工知能)が担う領域が拡大する

AIの領域は、そのうち職人技である手術にも広がるでしょう

その様ななか、どのように診療看護師(NP)は立ち振る舞うべきなのでしょうか?

診療看護師(NP)は医師不足を補完できるか

特に日本の医師不足は深刻とされてきました。

コロナが流行した際には、まさに災害モードであったことも記憶にまだまだ新しいです。

その様な医師不足を担う一手となる可能性が期待されているのが、診療看護師(NP)です。

診療看護師(NP)とは、看護師ですが医師が行う様なトレーニングを受け、看護師特定行為を行える看護師の事です。

職種でいうと看護師ですが、組織単位にもよりますが概ね医師の業務を代行しています。

例えば、処方や検査の代行入力を行っています。

代行入力は、基本的には医師に依頼されたものを行います。

これは法律上そのようになっているから、遵守しなければなりません。

医師に言われたことを代行オーダする、といってもその診断や治療が正しいのかを理解していなければ代行オーダを行うということは難しいです。

時々真面目に、診療看護師は処方権があると大々的に言っている人がいますが、大きな間違いです。

そんな事したら、逮捕です。

ほんとにやめてほしいと思っています。

一部の診療看護師(NP)はこれらの医師業務を担うことで、医師不足の一端を担っていると言えるでしょう。

ChatGPTなどのAIの対等は医師不足へどの程度影響を与えるか

AIの台頭は今までは夢物語的な側面が大きかったのですが、ChatGPTの登場により一気に全世界に広がりました。

とはいえ一気に進んだわけではなく、例えばアルファ碁や将棋の世界で、その世界の名人たちすら敵わなくなったように着実に進歩を遂げていたと言えます。

現時点のChatGPTの場合は、医療に特化していません。

それでも医療に関することを聞くと、概ね適切な回答が帰ってきます。

例えば急性腎障害に関する主要な論文を10個挙げて、と質問するとたしかに概ね網羅された論文やガイドラインを提示してくれます。

例えばApple watchの場合は、心房細動が検出できるとされ正確性もある程度担保されいてるとされています。

通常24時間程度のHolter心電図では、症状が出ない場合はよくわからないという結論で答え探しを放棄している側面があったかもしれません。

しかし常に装着している腕時計の場合、何かしら検出されることになります。

最も多い不整脈は心房細動です。

心房細動がなぜ良くないのかと言うと、広範囲の脳梗塞を起こすから良くないわけです。

そのためできるだけ早期に、できるだけ確実に見つけたいわけです。

Apple watchの場合は、AIに抱合されるでしょうが現代の医療デバイスの進化系と捉えた方がしっくり来るでしょう。

まだ医療機器としては未承認の段階ですが、承認されるのも時間の問題でしょう。

医師の仕事

医師の仕事は、患者さんに対する仕事がまずあります。

例えば診断や治療が代表的で、医療を最も代表する側面ではないでしょうか。

ところが医師が多忙と言われる理由は、患者さん自身に対峙する時間以上にレセプトなどの書類仕事なども多く担っています。

このあたりは実は、医師が行わなくてもよい仕事と言えます。

けれども法律で規定されているから、医師が行わなければならないわけです。

じゃあ、法律を変えればいいじゃないか、という意見もあるでしょうが法改正は莫大な労力を伴います。

そんな労力を経て保助看法も、看護師特定行為という側面からようやく法改正に至ったと言えるでしょう。

書類系の仕事は、ゴーストライターが書いても極論わかりませんし、最終的に医師がチェックすれば問題ないわけです。

そういうわけで、メディカルクラークさんの仕事も増えており、代わりに医師の書類系の仕事の負担が少なくなっています。

これでようやく医師は本業を行える、ということになります。

ところが、臨床医学とはそんな甘いものではなく、よくわからない患者さんがたくさんいます。

例えば、診断がわからないとか、適切な治療をしているはずなのに良くならないとか、適切な治療がわからないなどです。

適切な治療がわからないとはけしからん、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、例えば、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に対するメカニカルパワーやPEEP(呼気終末陽圧)の設定などは治療の側面も含んでいますのでよくわからない、ということになります。

他には輸液に関しても同様です。

診断も同じく、不定愁訴なのか診断にたどり着けていないだけなのか、一人の医師の診察だけではわからないのです。

この様な診断がつかない患者さんの場合は、最終的には精神疾患が関与している場合と、適切な診断がつく場合とに分けられます。

このあたりの診断がつかない病気に関しては、最終的には名医と呼ばれる医師が診断するということになります。

名医はアニメの世界ではヒーローになりますが、現実の場合は患者さんとしては非常に困るわけです。

つまり、診断がつかないと治療も良くわからないので、診断をつけるという仕事はとても重要な仕事といえます。

とはいえ、名医と呼ばれる人でも自分で診断したことのない病気にいつかは出会うことになります。

ところが、自分で診断したことのない病気でも診断することができるのです。

それだけ膨大な知識があるということが1つと、もう1つは世界中に論文は星の数ほどあるので適切な検索式を書ければ答えに近づけるのです。

ChatGPTの場合は、名医の検索式をより簡単により多く網羅してくれるようになりました。

例えば論文を読むのはけっこう大変だけど、臨床で今使うためには要約してくれるとすごく助かります。

それは、要旨(Abstract)を読めば分かるでしょ、と言われればそうなのかもしれませんがあくまでも要旨に過ぎません。

ChatGPTの場合は、全文を読んで要約してくれます。

一言で表現するなら、人間業では無いのです。

古風な人間の口癖は「昔はこうだった、俺達の時代は~」となっています。

携帯電話すら、しょうもないと言っていた人でも、そのうち携帯電話を持つようになりました。

その次には、スマホなんていらんと言っていた人ですら、スマホがないと生活するのも(例えば支払いなど)難しくなってきています。

それでも、俺は現金しか信用しないんだ、という人には現金を持つことのリスクとか説明しても、多分難しいでしょう。

年配の看護師を見ると、現代のITの世代についてこれない人も多いです。

そうならないようにするには、というよりAIを上手に使えないと仕事にならない世界の波は迫ってきています。

世界一の臨床医学系雑誌のNew England Journal Medicineも、AI雑誌を刊行しています。

数年の間に、臨床医学はガラリと変貌を遂げるでしょう

AIと外科の場合

流石に手術は、職人に任せるしか無いよ、となるのでしょうか。

外科の場合は、内科と異なり経験数がものをいう職場です。

つまり、経験のある年配医師が一般的には色んな意味で(総合的に)最も上手ということになります。

既に外科領域では、ダヴィンチというロボット手術器械が多くの施設で導入されています。

ロボット手術の場合は、人間ではできない動きをしたり狭いスベースに入って行ったり、人間よりできることはたくさんありそうです。

放射線の世界でも、AI画像診断は発達してきています。

世界では星の数ほどの手術が行われています。

これらの画像を統合することで、手術自体もオートマティックに行えるんじゃないかという気もします。

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶと言われます。

愚者の経験は、世界の症例数からすれば端数のようなものです。

その経験を多くの医療者で共有できれば、医療はもっとよい診断や治療を提供できるような気がしています。

完全にロボットAI依存というのは、もう少し先の話になると思いますが、セミオートマティックの世界は割と近い用に思います。

そうなると、自動車が決められた道路の上を走ることなどは、なんてこと無いという世界になっているはずです。

手術の方が自動車の運転よりもよほど難しいわけですから。

ただ、そんな世界もAIの進化を見る限り、想像に容易いです。

進化

長い地球の歴史からすれば、人間が誕生した歴史はそれこそ端数のようなものです。

狩猟採集民族で移動しなから、獲物を追い求めながら長い距離を走り獲物を捉えていた時代がありました。

少し時代は進化して、穀物を作れるようになり、移動の必要性がなくなり定住という生活を選択するようになりました。

この辺から人間は炭水化物を摂取するようになり、糖質制限派の論拠として用いられています。

それから長い年月を経て、近代では添加物全盛の時代となってきています。

火を使った調理は、形を変えて現代でも残っています。

グラハム・ベルが電話を発明し、トーマス・エジソンが電球や蒸気機関を発明したことで、一気に近代化が進みました。

少しづつ形は変わっていますが、基となる原理は同じです。

その後、インターネットの勃興に、iPhoneの登場から世界はまた1段階ステップアップしました。

わたしがまだ若い頃は、図書館にある紙の雑誌をコピーして使っていました。

その少し前は、Pubmedに掲載されているものは、CD-ROMに収められていました。

つまり、エビデンスの創出も検索も非常に難しいものでした。

現代では、エビデンスも一瞬で検索されます。

ガイドラインの質にもよりますが、ガイドラインはエビデンス集 のようなものです。

とはいえガイドラインを読むには、時間がかかります。

そんなときはChatGPTが要約してくれます。

ただAIで診断できるとはいえ、適切な検索ワードが無いと診断にはたどり着けません。

臨床医は問診しながら、鑑別をいくつか考えていて少しづつこの診断に近い診断の上げ下げを行っています。

AIにはすこし難しい領域かもしれません。

身体所見も同じくAIには難しいでしょう。

例えば「板状硬」というワードは、外科医にとってはイコール開腹手術というくらいのワードになります。

この板状硬を定量的に評価することが、もしかしたらできるかもしれません(検索していないのでその様な研究が在るかもしれませんが)。

このように、日々ぼーっとしてすごしていても、世間が進化しています。

進化するということは、全世界的な物価も上がるでしょうし、そうした場合に現金を持ち続けるというのはリスクになるわけです。

情報はグーグルなどの検索エンジンの影響でたどり着きやすくなりましたが、一方で適切でない情報もたくさん出てくるようになりました。

この辺の適切な情報の取捨選択と、根拠の高い情報をChatGPTのようなAIが補う日は近いでしょう。

 

日本の医療費の問題

日本の医療費は、2022年で約43兆円です。

右肩上がりでしたが、すこしづつ介入がなされ2021年度よりも少ない額となっています。

日本はそもそも、検査や病院へのアクセスが極めて良い国です。

他国と比較すると、CTやMRIはくらべものにならない数があります。

それだけ撮影すれば、画像診断の領域ではAI診断のよいフィールドになるはずです。

一方で、検査をすればするほど、処方をすればするほど、入院すればするほど、医療費は上昇します。

高齢社会の闇といってよいのかもしれませんが、老老介護はとても多いです。

ぎりぎり自宅に帰れるレベルでも、自宅で看れる人がいないので入院させてください、という人も沢山います。

その割に(という言い方も変ですが)、お金が無いので個室代金は払えませんという方もいます。

入院を希望するけどお金がないので入院できない、ということです。

それでも、1割負担です。

これからの特に高齢者医療は、在宅 にシフトすることは間違い無いでしょう。

例えば、95歳寝たきり胃瘻という方でも、生きていてくれるだけでいいから、という方もいらっしゃいます。

お気持ちはとても良くわかりますが、倫理的に線引がとてもむずかしいシチュエーションです。

今後、仮に日本の財源の問題でAIにより治療適応が無いと判断された場合は、自由診療となる世界もあり得るかもしれません。

そうなった場合は、人間味が薄れてしまうのでAIにその様な使い方はしてほしくないと思います。

倫理とは、なかまたち(倫)と共に在る理法の事です。

みんなで話し合って、方針を決めていくというプロセスとしての(ACP: advanced care palanning)は残って欲しいと思います。

まとめ

医師の仕事はAI(人工知能)の台頭により、少なくなってくる

診療看護師(NP)が、医師不足という側面だけを担っている場合は、同じく淘汰される

AIは大きな可能性を秘めているが、何も行動しない人は同じくついていけないので淘汰されるでしょう

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