結論
普通の学術集会になってきている
それは,良い面でも悪い面でも
関係者は大変だったと思います,お疲れ様でした
NP学会
NP学会の話をすると,まずNP学会って何?という話から必ず入る必要があります.
例えば,ICUというと集中治療室というのが一般的かもしれませんが,国際基督教大学もICUです.
略語というのはそれぞれの背景次第なので,使うときは慎重に選択する必要があります.
そのため,「診療看護師(NP)学会」やナースプラクティショナー学会のほうがしっくりくると思っていますが,なかなか代わりません.
学会員はそれで良いと思っているのかもしれません.
もし,そのままの略語のママでOKということであれば,もっとNPが一般的な単語として認識されるまで普及活動を行う必要があります.
では,一般的に普及するとはどういうことかというと,例えば広辞苑などの辞書への掲載があります.
それまでは,一般的な日本語を使用したほうがいいような気がしています.
NP学会も第9回
日本における診療看護師の歴史は,もっと前からありましたが,学術集会としては今回は第9回となります.
NPと呼ばれる診療看護師の人数も増加しており,要請している大学院も増えてきております.
診療看護師(NP)における問題点は法律の問題が多くを占めます.
法律の場合は,先に法律を作り方法が後から追いつくという方法が1つあります.
もう1つは,先に活動があり後から法律が追いつく場合もあります.
例えば,1級建築士の姉歯氏という方が耐震偽装を行った結果,建築基準法が改正されたとされています.
他にも,センセーショナルな飲酒運転による死亡事故で,の飲酒運転の厳罰化も改正されています.
https://legalus.jp/column/fe854797-4b31-47e7-9054-fb01145a2e02
これらのように,法律を変えるというのはとても難しく,背景には大きな被害がある場合がほとんどです.
診療看護師(NP)への追い風
追い風としては,タスクシフト・タスクシェアに加え,医師の働き方改革が上げられます.
どちらかというと,医師の働き方改革が先にあり,その先にタスクシフトがついてきた感じでしょうか.
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/ishi-hatarakikata_34355.html
医師の働き方において,本来は医師が増えるのが最も良いはずです.
しかし,コスパが悪いという事が1つとそもそも医師の養成の需給バランスが日本においては不足しているという側面があります.
そこで,タスクシフトとして看護師の経験をもつ診療看護師(NP)が注目される事になりました.
つまり,フィールドは整いつつありますので,あとは日本における診療看護師(NP)の皆様の根拠(エビデンス)の創出次第で,法律改正の動きが出てくる可能性があるのかもしれません.
そこで,学術集会に繋がってくるということです
学術集会の演題はどうか?
まだまだ,エピソードの集積の演題が多いと思います.
これからの根拠の創出という観点からは,エピソードの集積はとても重要で,それらを全く否定するつもりはありませんが,根拠という観点からは弱いと思います.
研究の場合,誰が行っても同様な結果が得られることが重要です.
これらを,妥当性(内的・外的)と言います.
外的妥当性を一言で表現すると,一般化(Generlizability)です.
同じ結果が得られるような,研究デザイン(プロトコル)か? という点が重要です.
「わたし・ぼくの施設ではこんな事やっています」から,もう一歩外に出て比較群を作成することから始めて見ると良いと思います.
研究の多くは比較により,優越性が示されます.
NPの場合は,優越性だけでなく非劣性の研究でも問題無いと思います.
さらにさらに,これらの研究を多施設で行えば立派な根拠になるはずです.
厚労省を始め,必要性を示す根拠の提示ができれば,国家資格化もしくは国が後押ししてくれる資格になるはずです.
学会運営側への提言
もう1つは,日本から論文化された研究に関しては1つのサイトにいつでも閲覧できるようにしてほしいということです.
それらの1つ1つが貴重なエビデンスであり,その論文を読んで後進達にも影響を与えることが可能になるはずです.
そして世界の標準としての診療看護師(NP)の立ち位置も意識することが可能となるはずです.
もう1店は,多施設研究を後押しできる仕組み(システム)を作ってほしいということです.
多分,診療看護師(NP)の9割は研究が苦手です.
それは,大学院であるにも関わらず研究の手法を教えておらず,臨床実践が教育の中心となっていることも影響しています.
すなわち,現在の修士課程での日本における教育体制が臨床中心であるのなら,博士課程としてNPのQualityを示すことを中心とした教育過程も望まれます(DNPコースも一部ありますが).
第10回の感想
わたしがNP学会学術集会が変わってきたな,と思ったのは愛知医大が主催したときからです.
このときは,初めて大会長が診療看護師(NP)で,しかもCovid-19の影響でオンラインとなりました.
そんな大変な中作り上げた学術集会は,画面上ではありますがとてもPassionが伝わってきました.
大会長が診療看護師(NP)になり,すこしづつ昨年の過去の学術集会を踏襲した形に落ち着いてきている用に思います.
第10回を1年後に控えて,もっと新規性を持ってすべての人が自分のために参加してよかったと思える学会を作っていく必要があります.
そのためには,NP学会の中心人物だけで学会を今あるパーツを組み合わせて作るのではなく,末端の人でも学生も含めて,協働できるということを示す学会であるべきだと思います.
つまり,単純に作るのではなく,みんなで創る(Create)という事です.
1つは学術的に効果を提示できるためのシステム作成が望まれます.
もう1つは,学会に来てなにか学んでほしいという点があります.
これは,公募でも良いと思っています.
もう1つは,国際的な立場で診療看護師(NP)の立ち位置を示していく必要があります.
つまり,研究して論文を書くしかありません.
0から1を創ることも必要ですし,1から10を作り上げることも必要です.
まとめ
NP学会学術集会は,第10回を迎え少しづつ成長しています
マイナーな学会なので,もっともっと面白いことを行ったほうが良いと思います
とはいえ,学術集会を創り上げるのはとても大変だと思います