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結論
- アプリの利用は複雑な医療において必須のスキル
- 数式を憶えるのも大事だけど、アプリならその必要性はない
- 看護業務は個人のスキルに依存しすぎている
医療におけるアプリの利用
世の中には、賢い人が開発したアプリがたくさんあります。
アプリを利用する人の多くは、普通の人です。
アプリを開発する人は、ごく一部の人です。
ごく一部の賢い人が開発したアプリを、一般人が利用するというのは理にかなっています。
これは、基礎研究で地道に治療薬を開発し、沢山の臨床家がその薬を使うという図式と似ています。
賢い人は少数で十分なのです。
特に近年では、人工知能(AI)の台頭により賢い人と一般人との差は縮まって来ています。
例えば、以前は作曲といえば、ピアノやギターなどの演奏能力がなければできませんでした。
最近では、パコソンが使えれば作曲ができるみたいです。
つまり、幅広く門戸は開かれているということになります。
やるかやらないか、やる人は事前の知識が無くても、ある程度はその能力を伸ばすことができます。
看護師はスマートフォンやタブレットを仕事中持てない?
看護師の場合は、スマートフォンやタブレットなどの電子デバイスを持てない場合が多いとされています。
そのルールを決めているのは、デジタルノンネイティブ世代の方々です。
残念ながら、現代ではデジタルネイティブ世代が台頭してきています。
デジタルノンネイティブ世代の、デジタルデバイスに関する考え方は、多くの場合間違っている場合が多いです。
とはいえ、デジタルデバイスの場合は、使い方が最も重要ですのでノンネイティブ世代の意見も非常に重要であると感じます。
すごく古典的な話になりますが、以前はいわゆる「家電(いえでん)」しかありませんでした。
友達に電話するときにでも、自分の名前を名乗りよく知らない友達の家族の誰か(親や祖父母や兄弟)に電話の取次ぎを依頼する必要がありました。
しかも、声変わりをしている中学生などは、誰と喋っているのかよくわかりません。
けれども現代では、対象者であるその人に電話をすれば、ほぼ確実に「その人」が出てくれます。
果たしてこれが便利な世の中なのかは、疑問付がつく状況かもしれませんが、現代は現代にマッチした形で進化していくしかありません。
つまり、上級者に対する立ち振舞いということになります。
デジタルノンネイティブ世代が上司である以上、そういった古典的ですが立ち振舞いも、それなりに重要ということになります。
医者といえども複雑な計算能力はアプリには負ける人がほとんど
お医者さんは、一般的に賢い人が多いです。
ただ、賢い人は多いのですが、賢さの定義にもよります。
現代のお医者さんの場合では、試験に合格する能力が高い人が賢いという定義に合致するかもしれません。
ところが、お医者さんは問題を解く能力は高いですが、問題を創る能力は低い人が多いかもしれません。
頭の良さ良さとは、問題設定能力こそが重要です。
普通に仕事をしていても、それを問題として捉えなければ看過されてしまうだけです。
つまり「問題は何か」、と設定できる能力が必要ということになります。
問題が設定できれば、あとはその問題を解けばよいということになります。
問題を解く能力が高いのであれば、問題さえ立案できればよいわけです。
診断と治療も同じような感じです。
診断とは問題設定能力で、治療は問題解決能力ということになります。
診断と治療は表裏の関係性です。
診断が立案できなければ、治療はできません。
たまには、診断が立案できずに診断的治療といって、治療をおこないつつ治療効果が現れれば診断が合っているんじゃないかと考えることもあります。
とはいえ、基本は診断→治療の流れが順当です。
アプリの話に戻しますと、例えば循環に問題がある場合は、心拍出量や末梢血管抵抗の計算を毎日行います。
心エコーを行い、計算を行うことになります。
これを計算機で行うのですが、エコーで左室流出路やVTIを計算すれば心拍出量は勝手に計算してくれます。
末梢血管抵抗も、この辺の情報があれば平均血圧などの情報を加味すれば計算可能です。
頭脳では最高レベルと言われる、お医者さんと比肩することもできる様になります。
わたしの様に基礎的な能力に乏しい場合は、テクノロジーの利用で医師の臨床能力に近づけることが可能になります。
まぁ、遠く及ばないのかもしれませんが、少しでも近づくためには最も簡単な方法といえるでしょう。
単純なスキルは繰り返すことで医師超えを目指す
手技に代表されるスキルは最も簡単に評価が可能です。
ということは、評価される側としても簡単だということになります。
例えば、手技の集合体とも言える外科医の場合は、術後の死亡率などの成績により評価が可能となります。
外科医の場合は、ピアニストと同じ様に、毎日毎日同じようにスキルを高めています。
ピアニストの場合は、ピアノを本番さながらに練習するでしょうし、外科医の場合は糸結びの練習や縫合の練習をひたすらくりかえし、実際の手術に望んでいます。
看護師の場合は、侵襲的な手技は少ないですが、例えば点滴留置などの手技があります。
点滴留置の手技は、一見簡単ですが背景の理論を知らなければ同じ失敗を繰り返すことになります。
看護師の場合は、背景の知識を高めずに先輩に教わったとおりに行っていることが多いように思います。
そのため、点滴の留置が困難な場合は医師をコールして留置してもらうということになります。
看護師ができないことが何故、医師にできるのかというと、医師は点滴を留置する知識としての背景を知っているからです。
手術も同様に、解剖学的な背景を知っているからこそ滞りなく手術を遂行することができます。
この様に、背景としての知識を深めながら手技を繰り返すことで、医師のスキルを超えることが可能になります。
例えば、超音波検査技師の場合は、医師と同じ様に例えば心エコーを行っていますが、医師よりも上手です。
それは、背景にある解剖学的な知識や診断知識は乏しいかもしれませんが、心臓エコーという一点にフォーカスすることで、医師よりも上手に行うことがかのうになります。
さらに、毎日毎日行うことでそれらのスキルは向上していきます。
このような、強みを伸ばすということはチーム医療に置いては極めて重要なスキルと言えるでしょう。
強みを伸ばすことで弱みを意味のないものにする、とはドラッカーが言っていたと思いますが、まさにその通りだと思います。
アレクサやオッケーGoogleに依頼することでミスを減らす
では、現代の医療、特に看護師の仕事においてはどの様なスキルが必要になるのでしょうか。
看護師は、病院という多職種が働く組織におけるキーパーソンです。
これは、間違いない事実です。
例えば、レントゲンや採血の検査オーダーが出たとします。
医師は検査オーダを出したことを看護師に伝えます。
そして、オーダを受けた検査技師や放射線技師は、看護師に連絡をして検査を行うことを伝えます。
看護師は、多職種の連携を図り、患者さんに検査を行うことを伝えます(当然医師も伝えています)。
この様に、患者さんを取り巻く医療は看護師を全て通して行われています。
さらには、患者さんからの要望に加え、家族からの要望や、時にはクレームに対しても対応しています。
つまり、看護師はとても多忙なのです。
当然、多忙ですので勉強する時間が取れないことも納得いきます。
ただ、この時ちょっと考えてほしいと思います。
現状を変えるためには、自分は何をすればよいのか。
多くの人は、影で人の文句を言っていますが、それでは何も解決しません。
文句を言うくらいなら、何か行動に移さなければ何も変わりません。
つまり、影で文句を言っている時間は、今後の仕事を有意義に過ごすためのただのはけ口です。
このような、言葉に出すということはとてもスッキリするのですが、看護師の世界の場合はその文句のはけ口を真に受けて、特定の看護師をいじめるような感じにときに陥ってしまうことが問題といえます。
真摯に仕事に向き合うこと、そのためには時間が必要です。
知識と実践は表裏の関係性にあります。
実践ができれば知識も付きますし、知識が付けば実践力もあがります。
もう一つ必要なのが、内省です。
これは、一般的に自分の中だけでの内省という形をとりがちですが、看護に関わる事象をデータとして解析することが必要です。
その時点で、自分たちの看護の方針は間違っていたのか、自分たちが思っていることとの乖離があるのか、など今まで見えていなかったものが見えてきます。
ここまでくれば、何に時間を取られているのかもわかりやすくなってきます。
最近は、アマゾンアレクサやSiriで呼びかければ、最適解を回答してくれます。
看護師はやることがとても多いので、例えば「アレクサ10時に抗菌薬の点滴」などと伝えれば、10時になれば教えてくれます。
多忙な看護師でも、忘れることがなくなります。
さらに進めば、「アレクサ血糖値は200」と伝えれば、事前の指示により「インスリンを2単位使ってください」などという世界が予測できます。
このような世界は、未来ではなく今現在進行形です。
医療だから特別というわけではなく、医療だからこそこれらのテクノロジーを使う必要性があります。
安全性をヘッジするとは、この様に使われるべきなのです。
まとめ
- アプリの利用で、医師を超える計算力を手に入れる
- 繰り返し+背景の知識で、医師を超える特定の知識をみにつける
- テクノロジーの利用により、医療ミスを減らせる
- テクノロジーは積極的に利用すべき