日々の記録

シンポジウム参加

診療看護師(NP)のシンポジウムに参加しました.

掲載可能なスライドの抜粋になります.

面倒なので,診療看護師(NP)のことを,NPと表現しています.

ここでのNPは,いわゆる日本版NPのことです.

 

なんとなくキーワードを挙げてみました.

まずは,NPとしての存在意義に関しては,総合診療医と同じように,どのあたりにアイデンティティを見出すのかというのは課題の1つであります.

セレンディピティーについては,私自身としては診療看護師のプログラムを履修した後はICUを中心に働く予定でした.

しかし,いろいろありまして総合診療科で働くこととなりました.

この体験は,決して遠回りではなく,偶然ではなく必然であったものだと感じています.

いわゆる,Connecting the dots.と呼ばれるもので,点と点がセレンディピティーによりつながる事です.

もう1つは,総合診療医は社会実装されてなくてはならない存在となっていますが,NPも後を追って社会実装する必要があると感じています.

 

診療看護師の業務範囲ですが,医師と看護師の中間という表現が最もわかりやすく,かつ世間に流布していると思います.

医師との大きな違いは,個人的には看護師としてのベースだと思います.

看護師として如何に考え,如何に真摯に実践した,という体験は,後々NPとしての業務を行うに当たり,活きてくるはずです.

ExtensivistとしてのNPのあり方としては,医療のスキマを見つけることも存在意義の1つだと感じています.

このように,病院は国家資格ホルダー,つまり専門職の集団です.

ですが,医療の扱う範囲は学ぶほど広く,学ぶほど深いわけです.

当然,スキマも生じます.

そのスキマを埋めるのが,NPとしてのレゾンデートル(存在意義)なのかもしれません.

 

NPは一部医師のような仕事をしていますが,当然ですが医師と看護師の間にはスキマというより,大きな壁が存在します.

それは,基礎教育であったり,法的後ろ盾であったり,専門診療科思考の壁であったり,卒後教育の手法など様々あると思います.

NPの場合,医師のような働き方を一部行っていますので,とくに卒後教育の壁のという側面からは,緩和も担うことができるかもしれません.

自身の経験では,ICUではたらいてきて,研究もそれなりに行ってきました.

しかし,実際働いてみると,全く役に立たないことをすごく実感しました.

それは,日常の臨床でもそうですし,カンファレンスでもそうでした.

指導医の先生方が凄いのはわかりますが,3年目のたくさんの先生方の凄さもまた実感する事となりました.

もちろん個人のファクターも大きいのですが,教育システムの構築もまた重要であるとも感じました.

NPがいるのが当たり前という環境というのがいくつかの施設では定着しつつあると思います.

NPネイティブ世代は医師に限らず,多職種においても着実に増えています.

個人的にはNPとしては,大したスペックは持ち合わせていません.

しかし,周りの採用側の方々がNPがいる環境を創りあげていただいたことで,現在普通に働くことができています,

ドナベディアンモデルでは,構造部分への介入が最も難しいはずでずが,構造部分に着手してもらうことで我々NPには結果へ直結する成果の提示が求められます.

私の勤務の1つに,夜間救急の内科外科の入院対応があります.

この際に,どこの診療科にも属さない内科の患者さんは,各内科で順番に入院を受けることになります.

例えば,循環器内科で保存加療の頸部骨折や,消化器内科で尿路感染症などです.

当然専門の診療科の先生方は,おそらくですが本来は専門診療科としての病気をみたいわけです.

しかし,我々NPの場合は,特に総合診療ベースの場合は,むしろ積極的にこれらの病気以外を含むマルチプロブレムの患者さんを見たいわけです.

その方が,いろいろな社会的調整もふくめ,Bio, Psycho, Socialの側面からより深い・より広い診療の補助も可能になるのかもしれません.

先に提示したように,何でもみるには見た目を整えるだけではダメなわけです.

先日も,急性腎障害(AKI)になりCRRTを行ったので,あとお願いします,という依頼がありました.

よくみると,多方面から様々な問題がありましたが,それらの問題は下位の問題と認識されている可能性がありました.

つまり,研究のDAGのようにより上位の問題は何なのか?という部分が診断という部分であり,NPの場合は極限まで突き詰めたアセスメントという表現になります.

AKIの場合も然りで,診断基準に則りAKIの診断をしただけではなく,AKIの原因は何なのかというより上位のプロブレムの認識と解決が必要になります.

このようなスキマは様々な理由により,必ず生じます.

これらのスキマへは,NPにも活躍できる余地があるのではないでしょうか.

NPの初期研修の理想ですが,総合診療の場合は臓器によらず全体を見たわすことが可能です.

山の頂上からの景色に近いでしょうか.

一方で,各臓器別診療科の場合は山の一部しか見えていない(見ていない)可能性があります.

当然,総合診療と言っても個人のスキルにもよるので,臓器別診療科の方が全体を見渡せていることもよくありますが..

また,比較的大きな病院だけになりますが,臓器別診療科のローテを研修プログラムに組み込むと,顔の見える関係性の構築が可能になります.

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