診療看護師(NP)

総合診療科での診療看護師(NP)

以前シンポジウムに参加したときのスライドを一部抜粋しました。

医療の3つの柱は,教育・臨床・研究と古くからこの流れを組んでいます.

それぞれに特化した人,というものありかもしれませんが,個人的にはこれらのバランスもとても大事だと思っています.

例えば,教育や臨床の効果を測定するためには,研究の手法が必要になりますし,研究手法を教えるためには教育が必要ですし,データ集積の基盤は臨床データということになります.

すなわち,それぞれが相互に依存し補完しあっている関係性にあると考えています.

 

総合診療の話になりますが,総合診療の問題点としては,強みが分かりづらいということが挙げられます.

例えば,代謝内分泌科のように糖尿病診療に特化しているわけでもありませんし,循環器内科のように経皮的大動脈弁置換などに代表されるContingency planを持ち合わせているわけではありません.

しかし総合診療科の場合は,糖尿病の患者さんや大動脈弁狭窄症の患者さんも診療するわけでございます.

そのなかで,どこに自らの存在意義を見出すか,ということはとても重要なテーマであると考えております

 

総合診療の場合は,幅の広さが強みの1つになります.

一方で,より深い診療ができないのか,と問われるとそんなことはなく,

あくまでも内科的な範疇ではございますが,他の診療科と同等の実践能力を追求することは可能で,どこまで追求するのかは自分次第ということになります.

 

総合診療における診療看護師の場合は,幅の広さが強みであり,ジェネラリストとしての側面も保持していると考えております.

例えば専門診療科であっても,臓器だけではなく全身を診る必要があります.

フレイルやPolypharmacyなどは一例となるでしょうか.

すなわち根拠のある内容はもれなくダブりなく,最近流行りのMECE,ミーシーという考え方に近いと思います.

MECEの実践は,幅広く患者さんを捉えている総合診療ならではのように思います.

 

普段のタイムスケジュールをお示しします.

詳細は割愛しますが,ここで言いたいことは,実践している内容は誰にでもできる内容であるということです.

例えば,私の実践内容とNP1年目の実践内容が同じである,ということは珍しいことではありません.

ただ,そのロジックは大きく異なる事があり,その場で教え続ける中で,少しづつ思考が鍛えられていくことになります.

すなわち根拠に裏付けられた思考においては,実践内容にブレが極めて少なくなると考えております.

このスライドで何を伝えたいか,という点は お示したタイムスケジュールではなく,ほとんどの時間は「考える」という作業に費やされるということでございます.

 

強みを明らかにするという観点からは,あなたの仕事はなんですか?と聞かれた際に

〇〇病院の診療看護師です,ではなく自分は何ができる診療看護師です,というところに落とし込めることが重要だと思います.

 

繰り返しになりますが,総合診療では幅の広さと深さが強みということになります.

専門的手技は強みにはなり得ますが,偉いわけではありません.

 

総合診療の強みですが,診断力も挙げさせていただきたいと思います.

看護師が診断を行い治療を行うことはIllegalとされています

しかし,極限までアセスメントを行い代替診断を立案することは,むしろ医療の効率化や安全性の観点からは推奨すべきではないでしょうか?

「馬の蹄の音を聞いたらシマウマではなく馬を探せ」という格言がございます.

私はこの格言を,検査のオーダができない看護との親和性が高いと,考えています.

すなわち,適切な病歴聴取や身体診察は看護師の武器となり得るはずです.

例えば,最近流行しているインフルエンザの迅速抗原検査の感度は.CDCでは5-7割程度と書かれています.

つまり,このような検査の意義は診断という側面からは,特性や確率を考慮しなけば意義が乏しいものとなってしまいます.

このあたりのロジックは,本学で基礎を学びましたのでとても感謝しています.

診断は看護診断も同様で,患者さんの今後の流れを形成するものなのでとても重要なものと考えております.

 

Yahoo!キッズより引用 https://kids.yahoo.co.jp/zukan/astro/winter/0006.html

キャリアについては,それぞれ背景も異なりますが,決して遠回りということは多分ありません.

私の場合も,診療看護師として全く畑違いな総合診療で働くことになりましたが,振り返ると全く畑違いではなく,強固な基盤となっています.

スティーブ・ジョブズ氏が,携帯電話とインターネットを繋げたように,点と点をつなぐことであらたな強みを形成することが可能となるはずです.

 

最後に研究についてです.

診療看護師にとって変わらないテーマの1つが,根拠の創出でございます.

クリニカルトライアルグループ作成の提言を行ったのが,2017年になります.

多施設研究の利点は,一般化や症例集積が容易という点が挙げられます.

根拠や質の高いエピソードの集積は,診療看護師にとっては重要なテーマです.

次世代に向けて,我々は何ができるのか「問い」を立てる必要があり,実践に移す必要があると今回の参加を受けて考えさせられた次第でございます.

今我々が後進にむけてできることは,未来の創造,Createだと思います.

論文を通じて今後この分野の未来のために,少しでも道筋を作って行けたら幸いでございます.

NPという枠を超え,未来の医療を見据えて根拠の創出を行っていくことが,私のこれからの課題でございます.

にほんブログ村 サラリーマン日記ブログへにほんブログ村 サラリーマン日記ブログ アラフィフサラリーマンへブログランキング・にほんブログ村へ

-診療看護師(NP)
-