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開催趣旨
診療看護師(NP)は増えてきました.
果たして自分たちはどのように貢献して,成果を提示しているのか?
ということから,このような企画に至りました.
対象は,診療看護師をはじめとした看護師全般を想定しています.
レクチャー内容は,日常の疑問を持ち寄り,みんなで考えるというのが主な内容です.
そして診療看護師(NP)は,各所で活躍していますのでスペシャリストとしての実践をされている方もいらっしゃいます.
1人の知識や実践は,全体を考えると無視できる程度の存在です.
逆に,1人の経験や知識がすごく活きる場合もあります.
ドラッカーは言っていました,"強みを活かすことで弱みを意味のないものにする"と.
まさに"それ"で,それぞれの強みを活かし共有することが目的です.
そしてその枠は,施設の枠を超えて多施設で繋がります.
今回の内容
すこし幅が広すぎたので,症例の部分を少し細く説明したいと思います.
大まかには,循環整理(DO2,O2ER,ガイトン循環平衡,PV loopなどに関連した項目から,抗菌薬など感染症関連までありました.
症例
レクチャー動画のスクショになります.
ChatGPTに作成してもらった,架空の症例になります.
まず,年齢と性別と主訴から様々なことが推測できます.
今回は主訴が発熱となっています.
発熱の原因は,急性のものでは主に感染症を想起することが必要です.
そして,高齢女性ということで,尿路感染症のリスク(事前確率)は上がります.
主訴が頻脈というのは,少しおかしいかもしれませんね(笑).
Chatさんよりも,人間のほうが少ししっかりしている部分もあるということですかね.
倦怠感というもの主訴に含まれいますが,この主訴は結構困ります.
診断には,High yieldととLow yieldがあります.
それぞれ,診断に特異的な所見とそうでない所見ということになります.
倦怠感というのは,そのような観点からはLow yieldな所見になります.
診断の入口としての主訴として設定すると,どこから攻めていくか困ります.
そのため,主訴を医学的に置き換える,SQ(Semantic qualifier)と呼ばれるものがあります.
例えば,この時点ではわかりませんが,「尿路感染症症状と悪寒戦慄を伴う急性の発熱」であれば,尿路感染症の可能性が多少は想起されますかね.
SQに関しては,本質ではないのでまた今度深堀りしたいと思います.
経過
次に経過ですが,過去に尿路感染症を治療している方ということがわかります.
尿路感染症といっても,どの程度のものかわかりません.
例えば,膀胱炎と腎盂腎炎が主な尿路感染症になります.
患者さんは物語るということで,診断のストラテジーで言うところのSystem3のアプローチになります.
System3は患者さんに教えてもらう,というやつです.
前回の尿路感染症と同じような症状ですか?と聞くと,教えてもらえる可能性はありますね.
前回と異なる,みぎ下腹部の腹痛なら,多分違うことが予測されますね.
既往歴
既往歴も重要です.
感染症のトライアングルで言うところの,宿主の部分の評価が行われます.
このケースでは,糖尿病・慢性腎臓病・慢性関節リウマチがあります.
既往歴に関しては,たいてい薬剤を見るとそこから想起できることがほとんどです.
薬剤歴
メトフォルミン,ジャヌビア,ミカムロ,メトトレキサートを内服しています.
メトフォルミンは糖尿病治療の第一選択薬で有名ですね.
余談ですが,糖尿病治療は血管リスクの低減で死亡率改善効果が重要です.
血糖だけ下げても,意味が無いとは言いませんが,利益は少ない可能性が高いです.
シタグリプチン
ジャヌビアは商品名ですね.
一般名は,シタグリプチンです.
余談ですが,一般的なカンファレンスでは一般名で記載されます.
分かれば良いのですが,いろんな企業があり難しい問題です.
シタグリプチンはDPP4阻害薬と呼ばれるグループの糖尿病治療薬になります.
DPP4阻害薬は低血糖リスクが少なく,特に高齢者にとっては使いやすい薬剤です.
ただし,血管リスク低減効果は乏しいとされています.
あくまでも血糖値を下げることで高血糖高浸透圧症候群や浸透圧利尿を低減させるという意味合いが強いかもしれません.
テルミサルタン・アムロジピン
ミカムロも商品名で合剤ですね.
テルミサルタンとアムロジピンが含まれています.
合剤は1錠で2種類の薬が入っているので,服薬コンプライアンスの観点からは有利です.
ちなみにアドヒアランスとコンプライアンスは少し異なる概念になります.
合剤の欠点は,血圧が下がりすぎたのでアムロジピンだけ止めたいということができないことが挙げられます.
入院中は比較的微調整が行えるので,使用する機会はほとんど無いと思います.
1錠にいくつかの薬剤が含まれる,Polypillという戦略がとられることもあります.
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2208275
ARB: アンギオテンシンII受容体拮抗薬
テルミサルタンはARBと呼ばれるグループの降圧剤になります.
通常はACEと呼ばれるものが,血管リスク・心保護効果という観点からはより強いエビデンスがあるとされています.
一方で,アムロジピンは入院中の高血圧でとりあえず降圧として使うのに便利な薬剤です.
ただし,近年はARNiと呼ばれるARが含まれるサクビトリル・バルサルタンが主要な薬剤となっています.
そのため,あえてACEではなくARBで導入して,ARNiという流れが特に収縮の不良な心不全(HFrEF)では用いられることになります.
ガイドラインに記載してある有用な薬剤戦略を,総合的にGDMTと臨床現場では呼ばれています.
CCB: カルシウム受容体拮抗薬
アムロジピンは,Caチャネルブロッカーで通常CCBと呼ばれることが多いです.
CCBの場合はも糖尿病の血管リスクの箇所と同じく,血管保護薬という観点からは弱い薬剤になります.
とりあえずの降圧をCCBで行い,後に血管保護作用のあるACE・ARBなどの薬剤に切り替えて行くことになります.
ちなみに余談ですが,心不全の場合は,血圧が高くてARBなどの薬剤を使うわけではありません.
心保護が主な目的なので,最大量まで増やすというのが薬剤治療の目標になります.
メトトレキサート
最後のメトトレキサート(MTX)は葉酸代謝拮抗が主な作用とされていますが,個人的に正直良くわかっていません(汗).
慢性関節リウマチの場合は,MTXが治療のスタンダートなって久しいです.
さらに生物学的製剤なども使われています.
以前に比べて,関節変形をきたすようなリウマチを見なくなったと感じます.
すなわち自己免疫を下げる方向に作用します.
通常の細菌感染症に加え,少し特殊な感染症への罹患も考慮が必要になります.
まとめ
スライドの要約をしようと思いましたが,疲れたので続きは次回にしようと思います.