結論
- 今のままの働き方では、医療とはいえAIに仕事を奪われる可能性がある
- AIとはいえ限界はあるので、上手に共生することが必要
AI: Artificial intelligence
最近よく聞くAIとは、日本語だと人工知能と訳されています。
人工知能とは、その名のごとくコンピューターが自分自身で色々考える事ができる知能のことです。
シンギュラリティともとも呼ばれます。
シンギュラリティとは、技術的特異点とも呼ばれ人間の知能を超えるような状況のことを言います。
とはいえ、現時点でのAIは人間が作ったプログラムに過ぎません。
自分で考えているわけではなく、与えられた計算をしてそのとおりに動いているに過ぎません。
例えば、Appleの"Hey siri"などに代表されるの音声会話があります。
これは、膨大な情報の中から最も適切とされる返事を探して答えているに過ぎません。
つまり、感情を伴わないということになります。
感情とは、人間を代表とする生命に与えられたものですが、時として邪魔になることもあります。
例えば、怖い上司の場合と優しい上司の場合とでは、返答やプラクティスが異なるということがあります。
これは、感情の代表です。
一方、AIには感情がありませんので、診断や治療もより正確に行うことができるかもしれません。
そして、AIは疲れ知らずです。
ある特定の事象に対して、ミスを極限まで減らすことが可能です。
これは、人間の比ではないでしょう。
人間の場合は、ミスが前提にあると言えます。
つまり"何でミスしたんだ"という上司や同僚がいたとしたら、それはシステムの問題である可能性が高いといえます。
これからの時代は、AI vs 人間ではなく、共存しか無いでしょう。
自動運転も然り、医療現場では診断や治療然りです。
風邪に抗菌薬は不要と言われていますが、AIに治療を任せれば抗菌薬の処方量は大きく減少するでしょう。
このあたりの政治的政策は、どうしても人間的感情が生まれます。
多くの政治家は、自分の当選をまず優先します。
その結果生まれるのは、応援してくれる人たち(時には企業や団体)の利益の見返りです。
人間らしいといえばそうなのですが、もう少し効率的にAIに参入してほしいと個人的には感じています。
わたし の場合、AIには不案内なのですが、今後AI無しの生活は難しいと思いますので少し考えてみようと思います。
まずAIはどのように自律した能力を手に入れるのかと言うことです。
AIは過去のデータが全てです。
過去の膨大なデータから組み合わせて、その時のシチュエーションに合わせて、最善と思われる解を導き出します。
例えばお掃除ロボットがあります。
お掃除ロボットの場合は、AIとは異なるのですが、生活必需品といってよいほどの便利グッズの1つです。
人間の場合は、汚れいるところを集中的に行うことが可能ですが、お掃除ロボットの場合は無理です。
さらに、特定の場所まで進むのにも、人間が導き出す最短距離を1回で通ることは難しいといえます。
このように、現段階では人間のほうが過去の体験を上手に使いこなせていると言えます。
医療におけるAIの利点と欠点
まず診断に関しては、大きく寄与してくれる可能性を秘めています。
診断の6割程では、病歴のみで診断がつくと言われています。
現在、特に開業医レベルで行われているのは、検査による診断が多くを占めていると言えます。
これは、開業医の場合は来院される人数も多く、病歴に時間を割くことが難しいという側面もあると思われます。
つまり、このレベルでの診断においては、AIの診断で十分といえます。
12誘導心電図においても、同様で本来は波形を読む必要がありますが、波形も読まずに心電図の出した診断のみを頼っているという人も存在します。
このあたりの診断補助に関しては「使いよう」ですので、結果の解釈を医師などの医療者が行うということが重要ということになります。
例えば、車の場合もカメラなどを使用し、最近は安全システムが向上しています。
本来、多くの命を救うためにある医療の世界においても、これらの安全システムは極めて重要であるはずです。
現在は、看護師や医師などの医療者により、安全を担保する働きかけをおこなってはいますが、人間である以上、ミスは絶対に起こります。
そのミスをうまく予防、リカバリーしてくれるためにも、AIの早急な導入は必要であると言えます。
治療に関してはどうでしょうか。
特に重症患者の治療においては、過去の体験も自分のプラクティスに影響しています。
これは、現存するエビデンスを覆すほどのデータではないにも関わらず「自分の経験としては・・」という負の側面が強く出すぎてしまっている場合も多く散見されます。
このような事象を、行動経済学的には利用可能性ヒューリスティックと呼ばれています。
自分の経験・体験というのは非常に重要ですが、過去の研究の何万分の1症例に過ぎないということは肝に命じておくべきです。
診断分野でのAIと同じく、治療分野でのAIも本来は根拠に基づく推奨を提供してくれるはずですので、最も効率的な治療が可能になります。
特に集中治療を要するような重症患者の治療においては、1つの漏れが後々大きく尾を引くことになる可能性を常に秘めています。
AIが提供してくれた適切な診断と治療が本当に正しいのか、その結果を患者さんにアプライしてもよいのか、という最終的な決断を医療者が行うのは割と近い将来まで来ていると言えます。
テキストを見ながらの診断・治療
多くの医療者は、テキストを参照しながらの診断や治療を行っています。
これは、膨大な情報の詳細までは憶えていられないからです。
ときには神がかった医療者の場合は、すごい知識を披露する方もいらっしゃいますが、多くの場合はテキストを確認しながらの治療がむしろ推奨されると言って良いでしょう。
AIがこれらのテキストを読み込めばどうなるのでしょうか。
おそらく8割位はなんの問題もなく、診断・治療を実施し、検査や処方、さらには過去の膨大な論文などのデータベースからも、患者さんのディスポジションまでも行うことが可能になるでしょう。
というのも、現在の医療においても、8割程度はルーチンワークと言われるものになります。
ルーチンとは、悪く言えば何も考えずに、パターンでの行動ともいえます。
カリウムが低ければ、カリウムを補充したり、といったパターンのことです。
人間ですら日常のパターンで済むのであれば、これらのデータをAIに読み込ませることが可能になることで、医療者の8割の負担は軽減できる可能性があります。
まとめ
- 医療におけるAIの参入は、少しづつ始まっている
- 如何に早くAIと共生できるかが、今後の医療者の課題になる
- ただし、AIは新しいものには弱い
- すなわち、Covidのような未知の感染症の場合には、AIに頼りきりでは医療が早々に破綻してしまう可能性も秘めていると言えるでしょう