結論
- 看護師を続けていくのであれば、進学はオススメ
- とはいえ、お金のことを考えると割に合わない
- 責任の対価がお金であるならば、進学は責任だけが増える可能性もある
- 最終的には、上司の賢さと実践力次第だが、自分で何かを変える努力が必要
- 何かを変えるためには、成果の提示が必須
看護師をこのまま続けていくのか
看護師は、世の中にたくさんいます。
現在看護師業務を行っていない、いわゆる潜在看護師もいます。
看護師免許を持ちつつも、全く異なる業種で仕事をしている人もいます。
看護師を続けるかどうかというのは、個人が決めることですが、この世界は病院を辞めるということが日常となっています。
なぜ、看護師は病院を辞めるのかと言うと、色んな理由があると思います。
やめたい理由の多くは、人間関係であることが、ある程度分かっています。
そして、上司も当然のように辞めることを承認します。
無理やり辞めるのを止めても、なんの解決にもなりません。
上司は自らまいた種といえます。
そして、病院は年々働き盛りの人材が減っていき、残るのは稀有な高年齢者ばかりが残りがちということになります。
そもそもこの業界では、1つの病院を辞めて次の病院に転職したとしても、業務内容が大きくかわることは通常ありません。
それは、なぜだかわかりませんが、日本の病院の多くは横一列に同じようなことを繰り返しているからだと思います。
当然ですが、それではどこの病院に勤めたところで、結局は繰り返しということになります。
そんなとき、看護師としてのキャリアについて悩むことになります。
例えば、海外留学、大学院進学、認定・専門看護師、管理職としてのキャリア形成など、臨床看護を続けていくなかでは、これらは代表的なキャリア形成プランの1つになります。
海外留学という選択
わたしは海外留学をしたことがないので、なんとも言えません。
ただ、日本という国を外から見るということは非常に重要です。
これは、留学云々よりも、日本にいても最重要課題として身につけるスキルが必要であると感じています。
日本はこれからは衰退していくだけと予測されています。
例えば、爆買いに代表されるように、近年は中国人を代表とする観光客が日本に押し寄せるようになってきました。
1つは、異文化の交流が進むという利点はあるかもしれません。
けれども、何故爆買いの地に日本が選択されているのかを、考える必要があります。
単純に、外から日本という国をみると、安いからです。
観光ついでに、安いブランド品などを買うということが、ステータスになっているのです。
けれども日本人の多くは、中国人観光客が大量に購入していくブランド品を、安易に購入することはできません。
あくまでも、贅沢品だからです。
つまり、日本人は物価が安いことを良いことだとしている風潮があるかもしれませんが、それは大きな間違いです。
看護師も毎月支払われる給与から大量の税金が差し引かれ、その他に自宅を持っている場合は、固定資産税や市民税などを支払う必要があります。
さらには、消費税10%というダメ押しです。
海外留学を行い、日本と比較して多くの学びがあるのかどうかは本人次第だと思いますが、米国の場合は誰が行っても成果を提示できるような仕組みが作られているように思います。
例えば、フローチャートがあれば、ある程度の知識・技術があれば実践可能だと思います。
少なくとも、留学してなんの学びも無いということは無いでしょうから、自分の中で何かを持って帰るという意識さえあれば、今後のキャリアにおいては、多くの経験が得られることでしょう。
認定看護師という選択
認定看護師も、創設からそれなりの年月が経過しました。
取得された看護師の数も、膨大です。
いまや、認定看護師がいない病院のほうが珍しいかもしれません。
認定看護師は、近年看護師特定行為とともに歩みを進めており、認定看護師としてのキャリアを後押ししていると感じています。
国家戦略としての特定行為を活かすも殺すも、認定看護師次第です。
胸部X線は、肺以外にも軟部陰影や関節や腹部ガス等、たくさんの情報を得るのと同様に、せっかくの資格ですので最大限に活かすことが必要です。
そのためには、本人の努力も必要ですが、特定行為を受け入れるための土壌もまた必要です。
こればかりは、法的に規定されたものですので、病院としても看護師が医行為をしている、なんて言っている人たちがいた場合、その病院は衰退していく病院と言えるでしょう。
インターネットやスマートフォンがここまで拡大するとは考えていなかったとしても、あるところでスマートフォンを使うという決断が必要になります。
スマホへの切り替え同様に、特定行為看護師もいずれは導入しなければなりません。
現時点で否定的な組織の見解である場合は、病院の数時代をへらす方向に舵を切っている国家戦略をみると、少なくとも今後伸びていく病院とは言えないでしょう。
とはいえ、他人にばかり責任を追求するのではなく、本人がどうすれば特定行為を上手に実践できるようにするかを検討することが大事です。
他人を動かすことは、自分がかわるということは、最短距離です。
専門看護師という選択
専門看護師と、認定看護師はある部分では活動の範囲が重複しています。
専門看護師はより専門的な内容で患者さんにアプローチします。
さらには、学位を持っていますので、研究も活動内容に含まれます。
個人的には、専門看護師という選択は看護が基盤であるだけに苦手意識がありました。
臨床実践と研究を考えているという方には、よい選択かもしれません。
とはいえ、難しい立場であるということもまた事実です。
わたしが専門看護師になった場合、成果を提示できるかというとできないでしょう。
積極的にコミュニケーションを図り、活動を推進していく人には合っているかもしれません。
診療看護師(NP)という選択
診療看護師の場合は、あくまでも組織単位の資格であるという前提が必要です。
NP、NPっていっても、国家資格ではありませんので、特別なことができるわけでもありません。
医師の真似事がしたい人は、あまりおすすめしません。
というのも、他部署とある程度のコミュニケーションが必要になりますので、論争を巻き起こす可能性が高くなると感じています。
ここでいうコミュニケーションとは、雑談ができるとかそんなものではなく、成果を示すための適切なコミュニケーションということになります。
喋りがうまくても、成果を示すことができなければ、その人はいる意味を失いますし、余計な論争が生じていしまいます。
せっかく、医療の健全化のためにNP制度を試験的に導入したとしても、余計な論争を産むようでしたら、それは害にしかなりません。
話をNPというキャリアに戻すと、まずどこを目指すのかということが挙げられます。
「好きなことをやっていきたい」と言われる人もいますが、仕事とは好きでやるものではどうやらなさそうです。
フランクルが言っていますが、どんな時も人生には意味があるということです。
与えられた試練にも、意味も持たせることが必要になります。
終末期の患者さんも、なぜこんなつらい思いをするのかというのではなく、意味をもたせることが必要だと言われています。
看護の場合は、資格をとったところで国家資格は、助産師と保健師しかありませんので、キャリア形成に直結するわけでもありません。
キャリアの対価は、給与ですので、多くの看護系の資格は給与に反映されないことが多いように思います。
日本における問題点は、成果を提示した場合でも、給与に反映されていない点だと感じています。
これは、マネージャーの問題が多くあります。
二刀流で注目されている大谷選手も、最初の段階で二刀流というプランを提示し、そのプランを叶えるためにどうればよいのか、というマネージャーのプランニングこそが現在の大谷選手を形成しているといえます。
看護も同様です。
つまり、先見性、先を見据える能力もキャリアにとっては重要になります。
いつまでも安月給で楽しいからという理由だけで、働き続けるのは困難です。
例えば、現行のNP制度ではNPは立ち位置としては、指導医クラスの知識と技術を持っていた場合でも、いつまでも初期研修医程度ということになります。
これは、認定看護師でも問題となったように、キャリア形成というからにはそれなりのポジションであったり、給与としての対価をが得る必要があると考えます。
つまり、成果を示すものだけが、給与を貰える仕組みを作ることが必要です。
例えば、業務改善をして、100万円の削減を行ったとしても、削減分の金銭は現行の制度では、業務改善チームには入ってきません。
このような取り組みを評価し、病院全体として取り組むことで、いろんな業務改善チームが出来上がり、コスト削減として寄与できるチームや風土が形成されるはずです。
医療には圧倒的に、質のカイゼンが不足しています。
キャリアとは異なるようですが、カイゼンこそが自分たちの未来を創ると考えます。
また、NPに限りませんが、いわゆる二刀流ともいえます。
マネージャー x プレイヤーであったり、看護 x 医学であったり、様々な2つのキャリア形成というのも1つのキャリアのあり方かもしれません。
大谷選手は成果を残しているからこそ、二刀流が評価されていますが、看護の場合の二刀流は片手落ちとなる可能性もあります。
つまり、能力を認め・評価してくれるマネージャーこそが、看護に最も必要とわたしは考えます。
まとめ
- 看護には、様々なキャリアプランが用意されている
- しかし、最も多くの看護師が勤務している病院では、管理部門の問題が起こりがち
- キャリアを形成しようとしている人材は、邪魔しないようにしてほしい
- キャリアを構築しようと考えている場合は、今この瞬間から動き出すこと