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結論
- 結局、個人次第
- とはいえ、所属先のBossの影響も多大
- ある意味先が決まっていないということは、欠点でもあり利点でもあるかもしれない
診療看護師(NP)
診療看護師(NP)とは、日本独自の制度です。
日本独自というか、施設(病院)単位での制度です。
制度というか、病院単位なので制度以前の問題です。
診療看護師学会というものがあります。
正確に言うと「日本NP学会」です。
正式名称にNPと言われても、正直なところナンノコッチャわかりません。
そのNP学会は、NPというシステムの法制度化に向けて活動を行っています。
日本最大規模の看護職団体である、日本看護協会もナースプラクティショナー制度の法制化へ向けて歩き始めているところのようです。
わたしが気に入らないのは、日本看護協会は自分たちナースは良くて、例えば診療放射線技師や救命士の役割拡大に対しては反対の立場をとっていることは、非常に気になります。
自分は良くて他人はだめなのか?といった感じです。
もっと協働すべきであり、医療はオーバラップする部分があって然るべきだと思っています。
現在の診療看護師(NP)の働き方
ナースプラクティショナーとは、主に米国で活躍している国家資格(州)ですが、端的に言えば処方や診断ができる看護師ということになります。
看護師ですが、きちんと法制度上ナースプラクティショナーという職種になっていますので、厳密に言うと看護師ではありません。
このような観点からは、日本の看護師は「NPは看護師なのに何もしない」というところに帰結しているのかもしれません。
実際の働き方の基となっているものが、看護師特定行為になります。
これは、38の行為が事前に医師による手順書発行の範囲内であれば、看護師の判断で色々できるという制度です。
例えば、抗菌薬投与であったり、鎮静剤の調整であったり、輸液の調整であったり、といったところです。
他には、医師の直接指示というものもあります。
この直接指示は特定行為の範囲外になりますが、医師が直接指示をしているということで、例えば気管挿管や中心静脈カテーテル留置などを行う場合もあります。
看護師が緊急時対応で、電気ショック(DC)を行うのと同じ理屈です。
実際の診療看護師(NP)のジレンマ
医師と同じように働く施設もあります。
とはいえ、ほとんどの内容は医師の直接的指示に基づくものになります。
つまり、看護師である診療看護師(NP)は自由に診療が許されているわけではありません。
そのような場合、医師へ報告しその結果を患者さんにアセスメントし、アプライすることになります。
結局は、時間のロスになります。
だからこそ、戦略的な取り組みが必要になります。
戦略的取り組みに向けて
例えば、病棟に一人医師がいれば、その医師の直接的指示で動くことが可能になります。
ところがこの意思が病棟全部を把握するのは困難です。
だからこそ分散するのです。
分散は診療看護師(NP)が担います。
NPがアセスメントした結果を、医師が最終的判断を下すのです。
そうすれば、いままで3人の医師で見ていたのが、3人の診療看護師(NP)と一人の指導医師で賄うことが可能になります。
ここで疑問がわきます。
医師3人から、医師1人+診療看護師(NP)3人だったら、結局トータルの人数が増えているのではないかと。
実は、それで良いのです。
医師はたくさんの給与をもらっています。
実際は、大学の場合は支払われる給与はすくなくアルバイトで稼いでいるようです。
とはいえ、一般的な場合医師の給与が1500万円だとして、看護師の給与をその半分弱の600万円だとします。
医師3人だと、4500万円ですが、診療看護師(NP)3人で1800万円+指導医師1500万円だとすれば、3300万円で済む計算です。
実際は、医師はもっとたくさんの給与が支払われているため、その差額はもっと拡大します。
母数が増えるということは、単純に労力が減るということになります。
それぞれの労力が減ることで、医療事故の減少や教育的側面への介入なども可能になります。
診療看護師(NP)とは本来このように、効率的・効果的に使うべきなのです。
困った事例
Bossが診療看護師(NP)導入を決めたとします。
けれども、現場を回す上級医はその方針に反対したとします。
Bossの意向に沿い、結果的に診療看護師(NP)は集中治療室に配属されたとします。
Bossの意向が気に入らない上級医は、事あるごとに知識が足りないと診療看護師(NP)を罵倒したとします。
そうなるとそこには教育的側面はありません。
あるのはただ辛い現実だけです。
診療看護師(NP)が辛い現場では、初期や後期研修医も同様に辛いはずです。
つまり、当該施設で働こうと思う人財が減少することになります。
人財が減少すると、残った人材(敢えて異なる漢字を書いています)への負担が増えます。
こうやって、負のスパイラルが形成されることになります。
診療看護師(NP)が働きやすい職場は、初期研修医も働きやすい職場です。
初期研修医と診療看護師(NP)の関係性
これは、お互いの立場を尊重することが必要です。
診療看護師(NP)と初期研修医の場合、手技の取り合いになってしまうと、それは悪い関係性になります。
ところが、診療看護師(NP)が初期研修医に、手技を教えると良質な関係性を創ることも可能です。
教えるには、ある程度の経験が必要になります。
手技の取り合いではなく、まずはできることを鍛える。
そして自分の順番が回ってきたときに、完璧に手技をこなす能力が診療看護師(NP)にはあるはずです。
特に人生最初の手技は、時間がかかります。
そんな時間がかかる手技を、暖かく見守れるだけの度量も必要です。
敵ではなく仲間ですので、ともに成長するにはどうすべきかということを考えることが大切です。
診療看護師(NP)としてのキャリア
診療看護師(NP)を続けていく、これも一つの選択肢であると思います。
とはいえ、定年退職まで初期や後期研修医と同じ立場で働くのか、と考えるとそれはそれで辛いでしょう。
最初の頃は、勉強になっていたことでも、段々と知っている知識も増えていき、今度は新入職の方に「なんでこんなことも知らないんだろう」と思うようになる可能性すらあります。
今のままでは、初期や後期研修医とと同じ立場で定年を迎えるというキャリアパスが1つ用意されています。
他の選択肢としては、自分で考えクリエイトしてく必要があります。
一人ひとりが現実に真摯に向き合うことで、モーゼの十戒のように道が切り開けるかもしれません。
大事なのは、それぞれが自分のことだと考えて行動に移すことです。
そして、客観的なデータとして提示することです。
小規模なエビデンスがいくつも蓄積していくことで、大規模なエビデンスに繋がります。
今は、その前段階です。
少しづつ、小規模エビデンスを世の中に公表していく必要があります。
繰り返しになりますが、働きかたに着手してからでないとNPの成果には繋がりません。
看護部も知らん顔している施設が多いでしょう。
まとめ
- 診療看護師(NP)のキャリアパスは、特に規定されたものはない
- いろんな選択肢があるだけに、そのキャリア構築は自分次第
- そのキャリアをこれから提示していくことが必要といえます