結論
- どこの診療科に進むとしても、内科は学んでおいて損はない
- つまり、最初の診療科は内科が最強、だと思う
- とはいえ、外科的な介入が必要なのは自明
内科はすべての基本
これ、結構当たり前の事を言っています。
当然、古代から外科的なアプローチというものはありました。
内科的に困難な場合に外科が登場すると言った感じでしょうか。
この原則は当然、現代においても通じる概念です。
そして、近年は内科の守備範囲が拡大傾向になってきています。
たとえば、胃潰瘍で手術をするということは、滅多なことではなくなりましたし、心臓手術も内科的アプローチで(とはいえ手術ですが)可能となってきています。
つまり、外科の守備範囲は狭くなってきているとも言えます。
とはいえ、外科手術は毎日たくさん行われています。
ということは、外科も当然ながら必要ということになります(当たり前ですが)。
内科とはいえ専門科は外科に近い
近年の内科は、専門に特化した内科では外科に近い働き方になってきています。
循環器内科では、カテーテルで弁置換を行ったり、ペースメーカーを留置したり、といった感じです。
つまり、病棟にはあまりいません。
外科もそんな感じです。
そのため、外科では病棟当番が割り振られています。
その医師はたいてい、下級医師ですので時間があれば手術を見に行くことになります。
そして、病棟には誰もいなくなります。
この隙間を埋めるのが、内科を学んだ診療看護師(Nurse practitioner)やホスピタリストたちであると言えます。
外科は手術をするのが仕事ですので、術後の全身管理は内科医師の方が得意な場合が多いと思われます。
そのため、本来は診療科の垣根を超えて協同することが必要なのだと思います。
外科でも結局、手術以外は内科管理
結局の所、外科とはいえ周術期に関しては、周術期管理が必要ですが、それ以外は通常の内科管理が行われます。
通常の内科管理とは、血糖値であったり血圧であったり、感染症であったり、術後の重篤な有害事象(SAEs)であったり、といった感じです。
そもそも、手術を受ける多くは高齢者ですし、併存疾患を抱えています。
例えば、薬剤他剤内服などがその代表です。
術前の持参薬をそのまま継続し、院内で転倒し骨折、寝たきりという可能性も生じます。
その、リスクを減らすのも医師(医療)の責務です。
感染症に対し、広域抗菌薬を使用するのも良いですが、適切な診断と感染臓器がわかれば、ある程度抗菌薬も選択が可能になります。
そんな具合で、実は手術というイベントは最も大きなイベントですが、これから先元気に過ごしてもらうためには、内科的な総合的な管理が必要になります。
そんなときに役に立つのが、ホスピタリストや総合診療医と呼ばれる人たちです。
これらの医師は、臓器横断的に診療を行っています。
つまり、各臓器にとって良いとこ取りのアプローチが上手であるとも言えます。
診断という強みもあります。
そして、全身を見るということは、医療という側面からもっと離れ、自宅での生活にまでフォーカスされます。
結局、手術時間が3時間で周術期管理が7日間であったとしても、それから続く内科的な管理もまた重要ですし、周術期合併症にも内科を学ぶことで対応できるのではないでしょうか。
まとめ
- 外科は手術を行う精鋭部隊
- 周術期の管理を行うのは、診断と治療に長ける臓器横断的診療科である、ホスピタリストや総合診療医が適任かもしれない
- 加えて、Nurse practitioner(診療看護師)などの内科トレーニングを受けたものも、能力を発揮するでしょう