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結論
- 輸液セットの交換は、通常は7日交換でよい
- 当然ですが、短期での交換は手間を含めたコストの増加につながります
輸液セットの交換
これは、看護師にとって興味深い研究であるように思います。
輸液セットは、多くの病院では週2回交換が多いのではないでしょうか。
特に、集中治療室では、輸液ポンプによる持続点滴が行われますので、その交換は非常に手間となっていました。
有名なCDCガイドラインには、96時間以上の間隔を開けて、1週間を超えない間隔での交換が高い推奨度で推奨されています。
単純に、輸液セットの使用頻度の増加は、看護師の手間になるだけではなく、病院としても医療関連のコスト増加に繋がります。
今まで、週2回交換だとすれば、週1回交換になりますので、とても楽になります。
そして、昨今プラスチックごみも国際的な問題になっています。
例えば、スターバックスコーヒーによるプラスチックストローの中止や、レジ袋の有料化などです。
本来、医療者もこのあたりの医療関連コストに関しては、もっと真剣に考える必要があります。
今回の研究
今回の研究は、輸液セットの交換を4日で行うか、7日で行うかという単純なものです。
The Lancetという有名な医学雑誌に掲載されました。
余談ですが、こんな単純な事はすべての看護師が認識していることです。
その疑問が形骸化され、結果的に現代で海外からメージャージャーナルに掲載されいてるということは、大いに反省すべきなのかもしれません。
非劣勢研究という手法を用いています。
このような研究デザインには、もってこいの研究のような気がします。
つまり、この研究において、わたしが研究者であれば、4日と7日交換で差がつかないようにしたいわけです。
ということは、差がないという結果を提示する必要が生じます。
厳密に言えば、差がないということを証明するためには、異なる研究が必要になりますので、非劣勢研究という研究デザインが選択されています。
非劣勢研究は、標準的なものと比較して劣っていない、という事を示すための研究手法です。
背景
生命を脅かすカテーテル関連血流感染症を予防するための、輸液セットの最適な交換頻度は明らかになっていない。
今回、輸液セットの交換頻度を4日と7日で行った場合の効果と医療コストを比較することを目的とした。
方法
オーストラリアの10の病院で、無作為化対象者マスク試験を行いました。
24時間以上の中心静脈ならびに末梢静脈カテーテルによる輸液が行われると予測された成人と小児患者を対象としました。
輸液セットの交換を4日と7日に無作為に割り付けれらました。
輸液セットの交換には、晶質液や脂質を含まない薬剤が選択されました。
結果
対象期間に評価対象となった、6007人の患者が対象となりました。
2944人が最終的に解析対象となりました。
7日間(N=1463)と4日間(N=1481)の症例が集積されました。
中心静脈アクセスでは、1124例(7日間投与群)のうち20例(1.78%)1097例(4日間投与群)のうち16例(1.46%)にカテーテル関連血流感染が生じました。
結論
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輸液セットの使用を安全に7日間に延長することができました。
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その結果、コストと作業量を削減することができます。