結論
新型コロナを制圧するには、マスク・手洗い・人の移動を制限、そしてワクチン以外に得策はない
はじめに
この本の著者は、感染症界隈では大変ご高名な感染症医である、忽那先生が書かれた本です。
忽那先生は、コロナ以前からテレビにも出演されるなど、精力的に活動されている方です。
メディア出演の一方で、論文も多数執筆されています。
最近では、Yahooのトップページにも、ブログが多く掲載されています。
そのブログも、大変わかりやすいもので、多くの医療者が参考にしています。
このようなわかりやすい文章を書くということは、結構すごいことです。
一般人向けに書かれた文章を医療者、それもコロナ診療を最前線で行っている医療者が参考にしています。
通常文章とは、ある特定の方に書かれます。
その対象が医療者であれば、このくらいまではわかっているだろうという前提から入ることもあります。
その前提がない一般人向けに書いた文章は、リスクコミュニケーションの観点からも非常に参考になります。
リスクコミュニケーション
リスクコミュニケーションとは、医療現場で行われているインフォームド・コンセントのようなものです。
インフォームド・コンセントとは多少古い表現ですが、日本語だと「説明と同意」と訳されます。
つまり、患者さんやその家族が、医療者の説明を聞いて、十全に納得したうえで治療を受けるプロセスともいえます。
この場合は、医療者 対 患者さんやその家族ですので、対象をある程度明確に設定しやすいといえます。
とはいえ、簡単なものでないということには変わりません。
これが、リスクコミュニケーションとなると、その対象は数百〜数万、国民全体を対象にすれば、1億の単位になります。
リスクコミュニケーションの目標は、正しい行動を支援することです。
福島原発事故でも、リスクコミュニケーションは話題になりました。
正しい行動とは、必ずしも根拠に基づくものではありません。
けれども、現状で最も正しい選択をする必要があります。
その正しい選択を支援するのが、リスクコミュニケーションの役割とも言えます。
リスクコミュニケーションは、専門家が行います。
今回のような、コロナのパンデミックや、福島原発事故のような状況で必要な概念です。
本書について
まずは、この本はコロナに焦点を当てていますが、感染症全般の話が半分くらいを占めています。
これは、感染症診療の原則は共通しているということでもあります。
つまり、ゼンメルワイスやナイチンゲールの時代から、受け継がれている事実は手洗いと清潔な環境ということです。
これに、コロナ時代ではユニバーサルマスクが含まれました。
この古典的事実さえ遵守していれば、感染症の多くは対峙できます。
ただ、コロナの場合は他の感染症が減少してきている中でも、コロナは増加しているということです。
つまり、何の対策も取らなければシャレにならないレベルで、コロナは爆発的増加を起こすということです。
そして、死亡率も風邪とは比較にならないほどです。
コロナは風邪ではないということは、このあたりから来ています。
死亡率が高い病気というのは、その裏では多くの重症患者さんがいます。
重症患者さんは大きく3つの経過をたどります。
1つは、そのまま悪化して死亡します。
2つは、なんとか回復しますが、日常の生活には多少制限をきたすレベルです。
例えば、お釣りの計算ができなくなるなどです。
3つは、長期に渡り合併症とともに生活するという経過です。
例えば、在宅酸素はその代表です。
ある人は、コロナとの戦いで消耗した結果、寝たきりになります。
結局、本書とは関係ない感想になってしまいました。
本書をまとめると
感染症全般のことが書かれています。
感染症媒介生物(蚊・ダニなど)についても書かれています。
世の中の生物には、多くのリスクがはらむことも書かれています。
医療者にとっても、復習になると思います。
多くの人に読まれているブログを書いているだけあって、文章も読みやすいです。
コロナについて現時点で、わかっていることとわかっていないことが書かれています。
このような非日常とも言える、コロナ中心の生活ですので、根拠に基づく正しい知識をつけ大多数で実践できるようにするためにもおすすめします。
まとめ
- 感染症診療の原則は、基本的に変わらない
- 現代で大きな変化としては、ユニバーサルマスクがあります