結論
- フィジカルに職種は関係ない
- お金もいらないし、検査オーダーも不要
- つまり、ベッドサイドにいる看護師は本来必須の手技
- ただし、フィジカルの順番は考える→診察の順番
フィジカルアセスメント
フィジカルアセスメントとは、身体診察を行い、必要な情報を取捨選択して診断や治療経過に役立てるものです。
例えば、呼吸音や心音などは一般の看護師さんでも、常に聞いている(聴診)はずです。
実は、この聞くは本来は、聴診の「聴く」でなければ、威力を発揮しません。
例えば、英語も同じですが、英語をただ単純に流していてもいつまでたっても聞き取れないし、話せないのと同じ原理です。
英語は、聴くと聞く両方大事と言われます。
とはいえ、まずは聴くことが必要です。
相手は、なんと言っているのか。
何を伝えようとしているのか、言葉で聞き取れない部分は、雰囲気で体全体を使って情報を収集することが必要になります。
伝えようとしていることを、聞き取れれば次のアクションに移すことができます。
フィジカルも同じです。
患者さんは、体からこういう事象を汲み取ってほしいと、声を発しています。
聴診だけでなく、全身に応用したものがフィジカルになります。
フィジカルイグザミネーション
直訳すると、身体検査になります。
身体診察とほぼ同義ですが、こちらのほうがより検査色が強く出ます。
個人的な感想としては、フィジカルアセスメントに使う道具を使う場合、イグザミネーションに近い印象があります。
例えば、音叉とか打腱器とか、そういったものです。
もっと波及すると、眼底鏡や耳鏡と言ったものも同様です。
さらに、波及すると超音波になります。
超音波まで行くと、もはやフィジカルというよりは、検査の色が濃くなってきます。
とはいえ、フィジカルが活きてこその、超音波です。
超音波検査ばかりやっていても、画像の描出などは上手になります。
けれども、全身をみてアセスメントするというところには行き着かない可能性があります。
すなわちフィジカルは、検査機器がある状況でこそ、積極的に使ってほしいものになります。
フィジカルは検者により差が出やすい
これは、紛れもない事実だと思います。
書籍には、この検査の感度・特異度はこのくらいと書かれています。
この情報を自分が行ったフィジカルに、まるまる当てはめてしまうと、全く異なる解釈になる可能性があります。
そもそも、研究とはある一定の条件下で行われます。
例えば、検者もどのような教育を受けて、といった具合で検査する人も、研究で採用された特定の人だけが行う場合もあります。
そのような場合、研究ベースだと検査感度・特異度が高く出やすい傾向にあるはずです。
一方、インフルエンザの迅速検査は、ほとんど誰がやっても同じような結果になります。
だからこそ、頻用されてしまいがちなのですが。
そのあたりの、検者間の信頼性は研究報告を読み解く上で重要です。
フィジカルを行う大前提:問診
フィジカルのプロフェッショナルの場合、何の前情報もなく身体診察だけで様々な鑑別疾患を挙げていくことが可能です。
ただし、多くの人にとっては、そんな神業は難しいです。
だから、事前の情報こそが重要です。
例えば、CT画像だけを提示されても、放射線科医なら読めるでしょうが、一般人が見ても見落としは増えます。
これは、フォーカスしていないからです。
このCT画像に、右下腹部痛などの情報があり、さらに虫垂炎手術歴なし、男性、などの情報がどんどん追加されていくに従い、画像検査で見るべきポイントが見えてきます。
この場合、右下腹部にある臓器に注意して、読影を行います。
事前確率からは、虫垂炎の可能性がありますので、虫垂を探しに行きます。
フィジカルも同じ原理原則です。
事前に、右下腹部痛があるとわかっている場合、虫垂炎の可能性を上げたり下げたりする問診を行います。
そして、虫垂炎の可能性が極めて高い、もしくははっきりしない、もしくは可能性は低いといった状況である程度、特定の疾患の可能性の上げ下げをしてから、フィジカルに望むことが必要です。
適当に、腹部を触っても見落としが増えるだけです。
フィジカルの前には、問診ありきということは重要です。
まとめ
- フィジカルの前には、問診ありき
- フィジカルは、上手な人に教わる
- テキスト上でのフィジカルの感度・特異度が自分が行った所見に全て合致するわけではない