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結論
- 超過勤務は取得しないのが一番
- 時間になったら帰る
- 他人が残っていても、なるべく帰る
- どう頑張っても定時で帰れない場合は、組織改善に着手する
超過勤務は闇
超過勤務とは、本来どうしても帰れず残ってしまった場合に仕方なくお金を出すので残業してください、といった仕組みのはずです。
ところが、超過勤務をすることで、比較的割の良い給与が発生します。
そうなると、定時で仕事を切り上げているのが馬鹿らしくなってくると考える方がいます。
というか、お金を稼ぐ力のない人の殆どはそうだと思います。
じゃあ、遅くまで残って時間外給与を貰えばいい、と考える人がいるのもまた事実です。
時間外給与が闇という理由は、そこにあります。
なんの生産性もなく、ただ長時間働くだけで給与がもらえるのです。
こんな割の合わない制度は、おかしいと思っています。
生産性をあげて、時間内で仕事を終わらせる人の給与は低く、のんびりとなんの生産性も残さない人の給与の方が高いというのは、おかしいと思わなければいけません。
組織風土の問題
まず、前提を変える必要があります。
定時(本来仕事が終わる時間)が、17時だとします。
でも実際は、残業の最頻値は19時だったとします。
ということは、まずは誰がどのくらい残業をしているかを分析する必要があるということです。
現状がわからなければ、まずは現状を知ることから始めます。
出勤退勤の時間は、通常記録されていますので、やろうと思えばすぐにでもデータは集積可能です。
ところが、こういうことを通常やりません。
なぜなのかはわかりません。
そういった組織風土に、まず大きな問題があると言えます。
前提を変えるには
たとえば、集合時間に毎回遅刻する人がいるとします。
こういう人は、いわゆる時間にルーズな人ということになります。
日本人は、時間に正確だといわれていますが、それは始業時間だけの話です。
会議の時間や、残業時間にはまったくルーズと言わざるを得ません。
では、遅刻をしないためにはどうすれば良いでしょうか。
最も簡単なのは、集合時間の15分や30分前に集合すればよいだけです。
首都圏では、電車も遅れることがあります。
通常の人身事故でしたら、1時間ほどで再開します。
重要な仕事でしたら、1時間前に着くようにすれば、通常殆どのアクシデントにも対応できるはずです。
余裕を持つ
余裕とは、精神的な余裕などもありますが、時間的余裕は精神的余裕に繋がります。
精神的余裕があれば、あおり運転などは生じないですし、電車でも我先にではなく、譲り合うことも可能になるような気がします。
遅刻しそうだから、車や自転車でスピードを出して、違反で捕まったら本末転倒です。
そもそも違反とは、重大な人身事故を防ぐためにありますので、そんな時に事故を起こしてしまえばなんのためにスピードを出して職場に向かっていたのかということになりかねません。
そして、人身事故を起こせば一生その重責を背負って生活しなければなりません。
たかだか、職場に遅刻しそうだったという理由なだけで、です。
これは、極端な例かもしれませんが、ありえるリスクですので、リスクは極限まで下げるということが、様々な余裕につながってくるのではないでしょうか。
実践例:看護師の場合
看護師は、たいていギリギリに来て、遅く帰ります。
新人のころは、早く来ていますが、だんだん遅くなります。
わたしも人のことを偉そうにいえませんが、一度遅く出勤すれば、その習慣を修正するのは極めて困難です。
近年では、働き方改革はあらぬ方向を向いており、早く来てカルテを開くのもダメという病院も増えているようです。
看護部の上層部は、思考が異端すぎてついていけませんし、話せば現場のことを全くといってよいほど理解していないのがよく伝わってきます。
始業時間は自由で、就業時間は定時の1時間前
とにかく、終わりをきちんと決めることが必要です。
終わりが決まっていれば、始まりが決まります。
先に書いたように、分析した最頻値の退勤時間が早まればよいのです。
全体の目標の掲げ方としては、超過勤務の最頻値・中央値を現行より1時間短縮する、になります。
目標が決まれば、その目標を阻害しているものは何か、無駄なものを徹底定期に排除します。
とても有名な、Donabedianの構造・過程・成果の3つの観点から考えます。
簡単に介入できるものは、過程(Process)への介入になります。
例えば、院内感染を減らすために手指消毒剤の使用率を10%向上させる、といったものと同じです。
手指消毒剤を使用したことで、実際に院内感染が減るのはわかりませんが、現存する根拠からは明らにやらないといけないことになります。
明らかにやるべきことが、どの程度できていないか・できているかを調べることは、成果(Outcome)にもつながってきます。
申し送りも、型を作りHandoffの様な形で、全員が必要最低限のことだけを申し送る事ができるようになります。
組織として残業代が減ること
例えば、500人の看護師が、毎日1時間の超過勤務を請求したとします。
月20日、1時間2000円と仮定して、1時間 x 20日 = 月20時間になります。
月20時間 x 2000円 = 一人あたり月々40000円になります。
40000 x 500人= 20,000,000円になります。
少なく見積もっても、月々2千万円も看護師の超過勤務のために出費されているのです。
あくまでも、これは平均ですので新人看護師では超過勤務請求が多くなりますし、ベテラン看護師では少なくなります。
つまり、ベテラン看護師の働き方の方が生産性があるということです。
ところが、大病院の多くは中堅看護師になると辞めていきます。
辞めない組織を作るということも、重要なQuality indicator(質の提示)になるのではないでしょうか。
まとめ
- 超過勤務は、極限まで減らす
- 減らすためには、現在の状況を把握する
- 現状を把握すれば、目標を設定する
- 目標が決まれば、無駄を徹底的に排除する
- 無駄の排除の際には、常識にとらわれない事が大切