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ショックの種類
- 心原性
- 閉塞性
- 循環血液量減少性
- 血液分布異常性
の4つでした。
心原性とそれ以外の2に分ける
ショックを身体所見から2つに分けます。
わかりやすいのは、頸静脈みることです。
頸静脈には、内頸と外頸の2つがあります。
普段から、意識して観察しないと見逃してしまう身体所見の1つです。
逆に意識さえすれば、患者さんと話をしたり、話ができない患者さんでも、頸もついでに観察しています。
内頸と外頸
内頚静脈を通常観察します。
ただし、内頚静脈は詳細に観察しなければ分かりづらいです。
このあたりは、なれている人と一緒に見ていくうちに、そのうち見えてきます。
見えないものが見えてくる感覚です。
例えば、レントゲンやCT、心電図何でも良いのですが、その異常箇所を指摘されることで、それにしか見えなくなるような状態と同じです。
より一般的なものでは、1つの絵で2つの見方があるのと同じです。
一方、外頚静脈の場合はとても観察しやすいです。
外頚静脈でも、代用できるとされていますが、解剖学的に直線的なのは内頚静脈です。
個人的には、外頚静脈をパット見て、ついでに内頚静脈の観察を行っています。
さらに、内頚静脈が観察困難な場合には、ペンライトを接線方向にあててみると、見えやすくなります。
例えば、道路をみても真っ直ぐにしか見えませんが、自分の目線を道路と同じ高さまで落としてみることで、道路が歪んでいるのが分かるようになります。
内頚静脈の観察は、これと同じ原理で観察します。
通常内頚静脈の拍動は、半坐位以上の状態では見えませんので、半坐位で観察されるのが一般的です。
健康な人でも、臥位になり息こらえをすると見えることがあります。
臥位で息こらえをすると、胸腔内圧が高まることで内頚静脈などの、右心房に本来返ってくるはずの血液がうっ滞することで生じます。
つまり、この状態が心原性(右心不全)や閉塞性ショックの状態といえます。
閉塞性ショック
- 心タンポナーデ
- (緊張性)気胸
- 収縮性心膜炎
- 肺塞栓症
などが、代表的な閉塞性ショックの原因です。
これらは、いずれも外側から圧迫されている状態です。
たとえば、心タンポナーデは心臓の収縮はできますが、拡張ができません。
心臓は、収縮には強いのですが、拡張には弱いのです。
身近なたとえでは、ひだり手でグーを作り、みぎ手をパーにして、ひだり手を包み込むとひだり手を開くことができません。
このように、収縮>>拡張の原理があります。
頚静脈が怒張するタイプのショック
- 閉塞性ショック
- 心原性ショック
この2つです。
ショックをみて、頸静脈が張っている場合は、このどちらかを考えます。
気胸の場合は、皮下気腫が出ているかもしれませんので、胸部を簡単に触ります。
けれども、皮下気腫があれば気胸の可能性はあがりますが、現代においては、その時点で胸腔穿刺をするよりも、その後エコーを当てることができます。
超音波検査を使う
エコーの詳細については、割愛しますが、頸静脈が怒張するタイプのショックの2つを見極めるために使用します。
肺エコーでは、胸部のスライディングサインやMモードでのSea shore signなどを確認します。
心臓は、心嚢液があるかどうかと、収縮があるかどうかをみます。
エコーを触ったことが無い方は、何のことかわからないと思いますが、教えてもらえればすぐに分かるようになります。
CTの画像もそうですが、医師に画像診断名だけ聞くのではなく、どういった画像のことを言っているのか、ということを確認することで、次からは分かるようになります。
看護師は、診断を行う必要はありませんが、診断の方向性を一緒に探っていくことは必要ですし、そのような態度は医療安全上とても必要不可欠なものであると感じています。
ショックの場合は、とにかく迅速性が重要ですので、気胸があれば穿刺を即座に行いますし、心タンポナーデがあれば、心嚢穿刺(場合によっては心膜切開)を行います。
ショックの場合のエコー検査は、秒単位で(少なくとも1分以内)
エコーは、この2つを見るだけなら20秒位あれば見れそうな気がします。
ただし、スライディングサインはリニアというエコープローベを使用し、ますのでプローベの切り替えに数秒かかる時間もあります。
多く見積もっても、1分あれば必要十分な情報は得られます。
看護師は、フィジカル所見としての情報も積極的に取りに行く
内頚静脈の代わりに、手背の静脈で代用する場合もあります。
ショックの場合は、末梢静脈ルートを取りますが、その際に両上肢の静脈が怒張している場合は、閉塞性ショックの可能性もあります。
とにかく、エコーは誰が使ってもよいので、誰でも使えるようになると良いでしょう。
ショック → 頚静脈が張っている → エコー → 気胸・心タンポナーデの有無を確認
といった流れになります。
まとめ
エコーに関しては、多少アドバンスドなものかもしれませんが、ショックの対応は全ての看護師において、必要なものですし、特に病棟においては看護師が第一発見者で有ることが多いです。
そのためにも、常にショックになりそうな患者さんではないか、ということを念頭に観察することで、その観察眼は鍛えられます。
そして、その結果患者さんは重篤な状態にになる前に適切な処置を受けることができます。
そしてそして、われわれ医療者も、急変が少なくなることで心の安心にも繋がります。