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ショックの分類4つ
ショックは御存知の通り、4種類に分けられます。
- 循環血液量減少性
- 心原性
- 閉塞性
- 血液分布異常性
以上の、4つになります。
とはいえ、新人看護師にはこんな4種類を出されてもよくわかりません。
ショックとは何か
そもそも、ショックとは何なのでしょうか。
血圧が低下すること、と一般的には認識されています。
しかし、血圧の低下とはショックを1つの側面から見ていません。
若年〜高齢者まで血圧がもともと低い人もいます。
これらの人たちは、ショックなのでしょうか?
どうみても、ショックには見えません。
ショックとは、見た目からしてショック顔をしています。
ショック顔の古典的な典型が5Pと呼ばれるものになります。
- 顔面蒼白
- 虚脱
- 冷感
- 呼吸不全
- 脈拍不触
これらが、英語での頭文字をとった5つのPになります。
とはいえ、これも実際のところよくわかりません。
そもそも、ショックは(外傷などは除きますが)突然起こるものというよりは、徐々に進行してきてある時点でその代償機能が破綻することをいいます。
そのため、純粋な「急変」は以外に少ないといわれています。
ときどき、「私の勤務は急変が多いの」という人がいますが、もしかしたら患者さんが出しているサインを見逃してかもしれないな、と時には考えることも必要です。
ショックとは、酸素需給バランスの破綻
ショックを一言で表現すると、酸素需給バランスの破綻です。
つまり、組織の酸素不足ということになります。
組織に酸素を届けるには、3つの重要なものがあります。
- 血中ヘモグロビン(Hb)
- 酸素飽和度
- 心拍出量
の3つです。
この3つは「試験にでます」、というくらい重要ですので、是非憶えましょう!
試験のための勉強?
そもそも、試験のために勉強しても実際に使えなければ意味がありません。
学生時代は、勉強→臨床で良かったのですが、臨床現場ではこの矢印が逆向きになります。
臨床→勉強ですので、臨床で気になったものを勉強して、自らの能力としていくというものです。
一方、学生の頃のように網羅的に毎週ジャーナルを読むという行為も、一見勉強だけしているように見えますが、実は矢印の方向は(臨床)→勉強であって、( )で見えないだけであり、勉強するにはそれなりの理由があります。
最も仕事がうまくいくことは、給与にも直結しますし、人生の大半を過ごす職場ですので、有意義に過ごしたくて勉強します。
医療現場では、この勉強が少し特殊で、勉強しないと患者さんの命に直接的に関わってきます。
例えば、他職種のことは全くわからないのですが、銀行員なども間接的に貧困に陥れることで、間接的に他人の命を奪っていることもあるのかもしれませんが、その因果関係は不明なことが多いです。
この因果関係というのも、理解するのが難しいのですが、医療の場合は患者さんの死亡と医療者の不勉強との因果が証明されてしまうことが多いです。
そのような側面もあり、多くの医療従事者は沢山勉強します。
ただ、個人的には沢山勉強するのはとても良いことなのですが、医療の外にも興味を向けることも非常に重要なことだと思っています
例えば、小説などの一般的な本を読むくらいなら、医学書を読むという人もいます。
間違ってはいないのでしょうが、沢山のヒントが医学書以外の本に落ちているのも事実です。
実際に対峙する患者さんの多くは、公立小・中学校を出ている一般の人々たちなのですから。
そういった観点からは、医者の子どもは医者という方々が増えすぎている印象があります。
悪くはないのですが、もう少し普通の人達が医者になっても良い気がします。
それだけ、狭い世界なのでしょうけど。
ショックの3つの要素、つづき
話が、大きくそれてしまいましたので、ショックの3要素の話に戻ります。
酸素を組織に運ぶには、心臓を動かすか、酸素飽和度を上げるか、ヘモグロビンを運ぶかの3つしかありません。
逆にいえば、これら3つのうちどれか、もしくはいくつかの障害が起きることで、ショックになります。
ヘモグロビンの低下
例えば、外傷などで大量の出血がある場合は、血中のヘモグロビンが減少します。
通常ヘモグロビンは、男性だと13以上はありますが、重症の出血性ショックだとヘモグロビンも3程度まで低下します(Hbの単位はmg/dl)。
Hb13→3だと、約4分の1になりますので、酸素を組織に運搬する能力が単純に4分の1にまで低下することになります。
心拍出量
その場合は、他の2つの項目で補うしかありません。
つまり、心拍出量を上げることが必要になります。
全力疾走のあとは、心臓がどくどくしているのが分かると思います。
これは、心臓が全身の酸素不足に対して、心拍出量を上げて対応している状態です。
慢性的に貧血の方は、汎収縮期雑音といって心臓が収縮しているときに心雑音が聞こえます。
これは、貧血を心拍出量で補うために頑張っているからです。
ちなみに細かいのですが、心拍出量と血圧は別物です。
この2つは、概ねパラレルな関係にあることが多いですが、血圧が高いからと言って心拍出量が高いとはいえまえせん。
今回は、その公式だけ書いておきます。
血圧:一回拍出量 x 末梢血管抵抗
心拍出量:1回拍出量 x 心拍数
心臓の拍出という点は同じですが、細かく言えばだいぶ違うということだけ認識していれば良いと思います。
酸素飽和度
そしてもう一つは、酸素飽和度です。
SPO2と一般的に記載されます。
SPO2のSはサチュレーション(飽和度)で、Pは脈拍、O2はそのまま酸素です。
つまり、脈拍を利用して動脈血液中の酸素飽和度を非観血的に測定しています。
ちなみに、動脈と静脈がありますが、その圧は圧倒的に違います。
そのため、動脈は拍動していますが、静脈は拍動していません。
逆に言えば、静脈は常に淀んでいるような状態なので、血液の塊である血栓が形成されやすくなります。
酸素の取り込み(酸素化)を良くするためには、吸入気酸素飽和度と平均気道内圧の2つのファクターがあります。
ということは、吸入気酸素飽和度を上げるには、酸素を吸うことが最も手っ取り早いです。
けれども、病院以外では酸素を吸える環境がありません。
そのために、呼吸回数を増加させて対応します。
平均気道内圧は主に、人工呼吸の際の概念です。
例えば、高所トレーニングをアスリートは行うことがありますが、高所だと気圧が低いので単純に平均気道内圧が低下した状態といえます。
とはいえ、高所の場合は気道内圧が酸素化に与える影響よりは、高所のため酸素が薄い(酸素濃度が薄い)ことの方が問題になり、その欠点を利点として利用しています。
呼吸回数が増加することで、吸入気酸素飽和度を少しでも上昇させようと体はがんばっているのです。
高所トレーニングは、最初は息苦しいですが、心拍出量を増やし、ヘモグロビンを増やして生体は反応します。
そのため、慣れてくると息苦しさはなくなります。
単純に慣れたというよりは、血液が濃くなっているか心臓が頑張って収縮しているため、息苦しさを感じにくくなっている、つまり生体反応として慣れてきた、ということです。
まとめ
- ショックとは、酸素需給バランスの破綻
- 酸素供給の観点からは、3つの要素として、ヘモグロビン、心拍出量、酸素飽和度が大事