血液検査
病院では、採血検査が行われます。
採血を行うには、血液を入れるスピッツが必要になります。
最も基本的な検査では、スピッツは3本程度必要になります。
その種類は、血算・生化学・血糖です。
血糖の検査は、迅速検査で数秒で測定できるものもありますが、より正確に測定するためには、血液検査を行います。
血糖自体は、生化学の検査でまとめて行えますが、時間が経過すると血球の分解に糖が利用されることで、血糖の値に誤差が生じてしまいます。
そのため、フッカナトリウムという、糖を分解させないための物質が入っています。
最も重要な採血での検査としては主に2種類になります。
血算と生化学検査です。
生化学検査
主に、腎臓、肝臓、ミネラルと呼ばれる電解質、炎症マーカーとしてのCRP(C反応性蛋白)があります。
これらは、生化学検査と呼ばれるもので、血清を用いて検査されます。
血清とは、血液が固まると血液成分が分離しますので、その上澄み部分のようなものです。
もともと血液が固まってもよいので、血液をスピッツに注入してからわざわざ振らなくてもよいです。
ただ、このスピッツは振ってこれは振らないとかだと、わからなくなりますので、まとめて生化学のスピッツも振ってしまっても構いません。
ただし、血液は衝撃ににより検査結果に影響を与えますので、本来はなるべく優しく運搬することが必要です。
エアシューターなどで運搬することもありますが、本来は用いない方が良いとされています。
血算
もう一つは、血算とよばれるもので、その名の通り血液算定検査のことです。
これは、血球の数を調べていますので成分ではなく、白血球・赤血球・血小板を主に見ています。
極論だと、この3種類を見ていると言ってもよいです。
個人的には、この3種類をまずみて貧血があれば、赤血球数やMCVと呼ばれる血球の大きさやヘマトクリットなどを追加で見ているような気がします。
白血球も同様に、異常があれば白血球の中身をみる、白血球分画検査というものがあります。
例えば、感染症では好中球が増加したり、アレルギーでは好酸球といったパターンを見ています。
貧血
今回は貧血の話をしようと思います。
貧血と言っても奥が深いので、ポイントは1つです。
ズバリ消化管出血(消化性潰瘍)に伴うものです。
貧血には、定義があり男性:Hb<13mg/dl、女性:Hb<12mg/dl、妊婦・高齢者:Hb<11mg/dlのようです。
検査における原則ですが、必ずトレンドで見るということです。
トレンドとは、前のデータと比較して下がり傾向なのか、上がり傾向なのか、変わらないのかのざっくり3つのパターンがあります。
問題になるのは、下がり傾向の場合ですので、何で下がるのかを考えます。
最も多いのは、消化管出血ですので、便の色を確認します。
タール便と呼ばれる真っ黒でドロドロしたようなものだと、上部消化管出血の可能性を考慮します。
便が出ない場合は、直腸診を行い便の性状を確認します。
上部消化管とは、主に胃・十二指腸です。
食道も含まれますが、食道の場合は吐血という形でプレゼンテーションされることが多いので、出血源は比較的わかりやすいと言えます。
上部消化性潰瘍には有名な格言(パール)があります。
「胃潰瘍は痩せる、十二指腸潰瘍は太る」というものです。
胃潰瘍は食事をすると痛むことがおおいので、食事摂取量が減少して体重が減少するということです。
一方、十二指腸潰瘍では、空腹時に痛みが出ることが多いので、食事を摂りすぎてしまいます。
新人看護師さんに行ってほしい事
血液データの推移をみて、下がっていないかを確認する
下がっていたら、まずは消化管出血の可能性はないかを考える
温度版や看護記録に排便の性状や回数を記載すると共有ができる
患者さんと医療者に余裕があれば、直腸診も行う
貧血に特徴的な身体所見、眼瞼結膜辺縁の蒼白、爪の異常(匙状爪など)、手掌線蒼白の観察を行う。労作時呼吸困難感や汎収縮期雑音などの観察を行う。
心雑音は、心臓が収縮する際にザーといった雑音が聴取されることがあります。
ヘモグロビンは組織に届いて初めて意味を成します。
ヘモグロビンを組織に届ける3つの要素は、「心拍出量」「酸素飽和度」「ヘモグロビン」です。
貧血≒ヘモグロビンの減少ですので、心拍出量を上げるために心拍出量が増加した結果心雑音が生じるという事です。
当然ですが、心拍出量は1回拍出量 x 心拍数なので、心拍数も増加します。
ヘモグロビンに酸素を沢山飽和させるために貧血の場合は、SPO2も高くなります。
まとめ
新人看護師さんには、少しむずかしいかもしれませんが、考える癖をつければ誰にでもすぐにできるようになります。
極論としては、貧血はトレンドで評価し、進行しているなら消化管出血を考えるというところでしょうか。