看護

医療現場におけるペンライト

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はじめに

ペンライトは、医療現場においてなくてはならないものです。
瞳孔や口の中を見るだけでは、もったいないですので、使い倒しましょう。

ペンライトは、眼はダメですが、基本的には明るいほうがよいです。
医療用として販売されているペンライトは、光量が弱いうえに、よく壊れます。

そのため、ペンライトをよく使う人は、アウトドア用のものを使用している事が多いです。
安価ですので、壊れたとしても専用品よりはダメージが少なくてすみます。

個人的オススメは、安価でコンパクト、かつ比較的壊れにくいものです。
私が購入したものは、壊れずに使用できていますので気に入って使っています。

ペンライトを何に使うか?

暗い場所で懐中電灯代わりに使うことが、一般的には多いのかもしれません。
それ以外に、あまり思いつきません。

そもそも、懐中電灯を使用するシチュエーションが現代においてはほとんどありません。
普段の生活で活躍する状況としては、停電の時には役に立ちそうです。

ほかには、狭い場所を明るく照らす場合などでしょうか。
例えば、隙間に小物を落として確認したい場合など。

非日常での環境では、おもに夜間のアウトドアでは活躍しそうです。
例えば、夜の魚釣り、キャンプなどが思いつきます。

子供との遊び目的での、影絵でも使えるかもしれません。
やはり、明るくするために使う事しか思いつきません。

ペンライトは医療現場における7つ道具の1つ

医療現場では、聴診器が最も使用される道具の代表だと思います。
個人的には、ペンライトと聴診器は同じくらい使っていますし、それぞれが持つ情報量はそれなりにたくさんあります。

日常の診察

咽頭・口腔内の診察

ペンライトで最も想起しやすいのが、喉の観察です。
咽頭痛は、外来における頻度の高い疾患ですので、とりあえず喉を見るといった使い方をします。

ついでに、齲歯など口腔内の状態を観察します。
後で書いている、口腔内アフタとともに出血斑も確認します。

副鼻腔の観察

そのまま、副鼻腔の観察も行います。
頬部からライトを当てて、左右差があるかも一応みています。
左右差があれば、副鼻腔に液体貯留があることがしさされますので、透過性が悪くなるといわれています。

眼の観察

そのまま、眼を見ます。
眼を見る際には、光量への気遣いが必要です。

人によっては、2つのペンライトを使い分けている人もいます。
最近のペンライトはLEDでとても明るいので、説明書には眼に当てることは禁忌とされています。
明るいライトを使用する際には、横から光をあてて光を直視しないように診察を行います。
たまに、意識のよい方に直接当てる人がいますが、やっちゃダメです。

眼は、瞳孔の収縮などをみる目的で行います。
眼球の出血斑が無いかも同時に観察します。
そのまま、眼瞼結膜の蒼白(貧血)をみつつ、出血斑がないかを観察します。

目に当てる時には、ドラマなどでも有名なシーンですが、死亡宣告を行う際にも使用されます。
死の3徴と呼ばれるものです。
心音消失(心停止)・呼吸音消失(呼吸停止)・瞳孔散大(脳機能停止)です。

医療現場では、モニターをつけるのが必須になっていますが、本来は不要なものです。
ドラマなどの影響があるのかもしれません。

死亡診断は人生最後の診断

人の死亡率は100%ですが、どんな患者さんであっても、死亡は辛いものです。
死亡診断は、その患者さんにとっての、人生最後の診断を医師が下すことになります。
当直中やバイト先であったとしても、きちんと最期の診断を患者さんに下してあげる必要があります。
それは、現行法上では、医師だけに認められた制度ですので、医師は最期まで全力で見送っていただきたいと思います。

頚部の診察

頸もみます。
頸は内頚静脈の拍動の観察目的でみます。
ペンライトの光を接線方向に当てると、拍動が観察しやすくなります。
外頚静脈と異なり、内頚静脈はやや深い場所にありますので観察がしづらくなります。
そのため、ライトをあてて見やすくします。

皮膚の観察と処置

皮膚は直にみつつ、光を当ててさらに詳しくみます。
特に傷がある場合などは、傷のディティールがわかりやすくなりますので、深度や縫合の必要性などが分かるようになります。

病棟では、縫合や抜糸専用のライトが無いことがほとんどだと思います。
ちょっとした処置の際にも、ペンライトは役に立ちます。
細かい抜糸などの処置は、明るいほうがやはり断然見やすいです。
介助してくださる方に、当ててもらうと処置がやりやすくなります。

指や爪の観察

この辺はLEDライトの恩恵がある事で、観察が行いやすくなったといえます。
感染性心内膜炎という、心臓の弁に菌の塊を作ってしまう(疣贅)と、少しずつ菌が飛んでいって、末梢の動脈に詰まっていきます。
それが脳動脈だと、脳梗塞になります。
手足の動脈は当然ですが、先に行けば行くほど細くなりますので、詰まりやすくなります。
菌の微細な塊が飛んでいくことによって、動脈が詰まってしまう所見(塞栓)を見つける際にペンライトを使用します。

爪下線状出血といって、爪が見えている箇所で出血斑を形成することがあります。
この時、ペンライトを手のひら側から各指を観察すると、所見が見えることがあります。
この所見(塞栓症状)をなぜ見つけなければならないのかと言えば、Duke診断基準といわれる診断基準に含まれているからです。
あれば、その病気(感染性心内膜炎)の可能性がぐっとあがります。

https://ameblo.jp/bfgkh628/entry-12062550760.html

しかし、このあたりの身体所見は個人により観察能力が異なりますので、みる人が見れば分かるということも多いように思います。
わたし個人も沢山見つけてきました。
治療中に出現することもありますので、毎日観察する事が大事です。

感染性心内膜炎はなかなか、確定診断を証明することが難しい病気の1つです。
医師は毎日観察して、塞栓症状の観察を行います。

目指すべきものの共有

医療は目指すべき所の共有が重要です。
例えば、感染性心内膜炎を疑っているのであれば、塞栓症状をナースも毎日観察する事が本来必要はずです。
さらに、新規の心雑音の観察も重要なはずです。
これらの情報はときに共有されておらず、さらに観察ポイントも知らない場合もあります。
看護師さんも、今何をしているのかという問題点は共有する必要があります。

看護師さんに限らないかもしれませんが、治療は頑張って行いますが、診断という部分に関しては、ナースはあまり協力的ではないように思います。
これは、そういったトレーニングを受けていないからなのです。

診断とは、誰がみても大体同じ状態が想起・共有されるから重要なのです。
ウィトゲンシュタインの言語ゲームが有名ですが、文脈依存的であるとも言えます。
例えば「ペンライト」といっても、何のことだかわかりません。
全ては、文脈依存的なのです。

それは「診断」においても同様です。
その病気であるということは、確定診断であるとは言えません。
その病気であるということは、病理学的に証明される必要があります。
しかし、毎回毎回病理診断を行うわけにもいきませんので「臨床診断」という形を持って代替しています。

その臨床診断に、ナースも多少なりとも寄与することが必要です。
診断がなければ、基本的には治療はありえません。
診断がわからない場合でも、治療反応性を持って、診断の確からしさを調べる方法もあります。
診断的治療といわれる方法です。

ペンライトの話から、だいぶ逸れました。
医療に限りませんが、目指すべきものはチームで共有し、それぞれの得意分野を活かすことで成果が提示できるものだと思います。

まとめ

  • ペンライトは、全身を見るのに使います
  • 使うからには、使い倒しましょう
  • 目に直接当てるのは、禁忌です

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