看護

看護師の評価方法と給与

看護師の給与体系

看護師の給与体系は、当然ですが月収です。
月に何日働いて、何日休みがあってということが決まっています。
通常4週8休ですが、病院によっては4週7.5休などの変則な勤務もあります。
医療職における最大の問題は、24時間営業であるということです。
当然、夜間帯は医療の質は色んな意味で落ちますが、ある程度の質の担保は必要です。
その質の担保の最たるものが、人員です。
人員が、ある程度いるというだけで、医療の質は当然向上します。
例えば、感染症の減少効果なども示されています。

そのような看護師の給与ですが、基本給は一般的に安いといわれています。
代わりに、夜勤がありますので、夜勤を行うことで身体の疲労と引き換えに、給与を得ていると言えます。
とはいえ、夜勤が好きな看護師もいらっしゃいます。
特に救急は、夜に多いので救急での印象に残るケースはたいてい夜間帯の出来事である事が多い様に思います。

残業

残業は、一見良い制度のように見えますが、あまり好ましくない制度であると言えます。
といいますのも、残業をすればするほど支給される給与は増加します。
賢い看護師は、敢えて残業時間が増えるように勤務するようになります。
この法則は、看護師に限らずどの業界でも同じです。

生産性とは、少ない時間で大きな成果を出すほど良いとされています。
それは、当然の概念です。
多大な時間で、少ない成果ばかりを出し続けるのであれば、病院の損益に大きく影響します。
通常人件費が、病院における最大の支出といわれています。
そのため、生産性が低い割に支払う給与ばかりが増えていくということになります。
また、看護師は母数が圧倒的におおいので、一人ひとりは少なくても合計すれば毎月すごい金額が、残業代に支払われていることになります。

当然残業を無くすような、介入をすべきですが、電子カルテですら紙ベースから脱却できていない医療業界ですので、なかなか進んでいないのが現状です。
これは、当然の摂理ともいえますが、医療の専門家がマネジメントを行うことは専門外だからという理由が最たるものであると感じています。

特に医療は非営利組織ですので、利益を得る事が目的ではありませんが、健全経営にあたっては、利益もある程度は追求する事が必要です。
また、新薬は効果ですが、副作用プロファイルが不十分ですので、危険な薬剤とも言えます。
そのため根拠があり、安価な薬剤を一般的には使用すべきなのですが、製薬会社が頻繁に出入りしている医療業界では、効果な薬剤が毎日使用されています。

認定看護師

認定看護師は、看護師の専門性を追求するために創設された日本看護協会が定める認定資格です。
認定看護師の問題点は、給与に直結しないということです。
認定看護師になるには、普通に看護師として勤務を継続するよりは大変です。
半年間はみっちりと座学を行いますし、実習にも参加します。
そして、特定の分野にある程度詳しくなり、試験に合格すれば認定看護師になります。

認定看護師の問題点は、キャリアとして学位などが無いことも問題です。
最終学歴は、大卒や専門学校卒業です。
とはいえ、学位があるからすごいということではなく、認定看護師にも素晴らしい知識や技術をもっている方がいらっしゃいます。
けれども、現在の看護師教育制度では、その知識を活かしきれないのが多くの認定看護師の現状であると言えます。

近年、特定看護師制度の創設とともに、認定看護師の特定看護師への以降も活発となっています。
このあたりの制度上の問題などは、詳しくはないのですが、その有り余る知識を臨床実践でより活かすことができるようになる制度が、特定看護師制度です。

とはいえ、ベースは看護師ですので様々な方がいらっしゃいます。
何の根拠もないことを言っている、一部の認定看護師の方もいらっしゃいます。
このあたりは、医師でもほかの職種でも同様です。

後ほど解説しますパレートの法則が有名です。
少しだけ説明すると、組織の稼ぎ頭は一部の20%の人材の影響だということです。

特定看護師

特定看護師は、認定看護師の所で少し記載しました。
特定看護師は、医師が過去主に行っていた一部の医行為を看護師に代替させるというものです。
たとえば、血糖の調整や昇圧剤の調整などです。
血糖値が高いけど、医師の指示が必要なので・・・というのがこの制度で多少解決できます。
とはいえ、根拠に基づく実践ができているのかといわれれば、教えを受けた医師の影響が出やすいのがこのあたりの領域になります。
医師も同様に、根拠に基づく医療を実践している方もいれば、先輩に教えられたものを実践している方もいたりと様々です。

一方、給与面ではどのように変わるのかといえば、変わらない病院がが多いのではないかと思います。
このあたりが、看護におけるとてもおかしなところであると思います。
勉强して、資格をとって、組織の約にたち、患者さんの役にたっている「はず」なのに給与が上がらないということは、勉強する意欲をそがれます。

「はず」と書いたのは、結局は自分たちのアウトカムを提示できていないからです。
このアウトカムも、経営の非専門家である医療者の所で記載したように、アウトカムの提示もまた、看護師にとっては素人なのです。

たとえば、医師が沢山の給与をもらっているのは、医師にしか認められていなくて、医師が行う診療報酬が高いためです。
つまり、現行の医療システム上は、医師が病院における稼ぎ頭であると言えます。
とはいえ、医師は医師一人では何もできないとは言いすぎかもしれませんが、少なくとも重症患者さんの診療はできません。
そのため、医師が不在の間を守る人材が必要であることと、沢山の処置を行うに当たり必要な人材の確保という観点から看護師が必要になります。

看護師は、ある意味最期の砦です。
医師に言われて事ばかりやっていては、医療事故も起こります。
現行のエビエンスと常に対峙しながら、ディスカッションし医師は情報として何を求めているのかを同様に希求していければ、ゴールの共有が可能となります。

たとえば、虚血性腸炎という病気で入院している患者さんがいたとします。
排便の回数は温度版に記載してあったとしても、腹痛の程度や血便の有無などが記載されていなければ、医師は温度版からは排便回数程度の情報しか得られずに、患者さんに一から問診を行う必要性があります。
看護師さんが、この程度の診察を行うことが可能と慣れば、医師は患者さんのところに出向かずに済みます。

これを具現化したのが、米国のナース・プラクティショナー制度です。
米国では、高度実践看護師が診療し診断〜治療まで行います。
医師は、そのアセスメントが妥当だったかなどのフィードバックは行いますが、臨床現場で医師があくせくはたらくというよりは、後ろでコーヒーでものみながら、午後になったら自宅に帰るようなシステムのところもあるようです。

大学院等のより高度な教育

修士や博士は他の学部でも同様にある学位です。
そのため、看護師も可能であれば学位取得は行った方がよいと思います。
というのも、先に書いたようにアウトカムの提示方法を知らなけば、いくら臨床実践で多大な成果を示したとしても、それは空論にすぎないからです。
そのため、臨床に即した学位を持つ看護師がこれからは必要になります。
具体的には、公衆衛生学や医療経営学などです。
これら2つの領域は、看護の世界で圧倒的に不足している知識や実践です。

日々患者さんと対峙した成果は、残ります。
それは、電子カルテや記憶に残ります。
きちんとした知識がなければ、アウトカム思考の実践ができませんので、どのようなデータを電子カルテに残せば後から解析することができるのかなど、系統的に看護を成立させるべきです。
これが、看護は科学であるという所以です。

独立した学問であるとはいえ、病院ではまだまだ医師の指示を受けるのが仕事、になりがちです。
これからは、自らのアウトカムを提示することで、個人の給与体系に直結するようなシステム構築が重要です。

看護師の院内での教育環境

このあたりも看護師は劣悪な環境であると言えます。
例えば、医局には怖い秘書さんがいて、入れなかったり入るにしても、秘書さんと一緒でなければ入らせてもらえなかったりします。
医局秘書にとって、医師以外はもはや部外者と言った扱いをされることが多いように思います。
医局内は、お菓子やコーヒーなどがあるとか、そんなのはどうでもよいのですが、我々看護師が欲しいのは、データなのです。

最も近年は、インターネット上ですべてのデータが手に入りますので、以前ほど苦労することはなくなりました。
そもそも病院で、ある特定のメジャージャーナルが見れなくなりましたが、医師も見ていないのか個人契約なのか、結局治らないのでわたしが司書さんに直してくれと言ったこともありました。
当然司書さんも気づいていませんでした。

このように、看護師でもデータが欲しい人は沢山います。
けれども、そのデータを解析する場所もありません。
たとえば、最近は統計のソフトでもRといった無料のものもありますが、以前はSPSSなどのとても高価なものしかありませんでした。
このSPSSを使いたいと言っても、看護部では制限付きのものだったりで、結局多変量解析もできないほとんどゴミみたいな統計ソフトだったりしたこともありました。
医療情報部門も、データのリクルートで協力はしてくれますが、医師からの依頼と看護師からの依頼では、明らかに対応が異なります。
同じデータをつかって、アウトカムを創出しようとしているのにです。

また、大きな問題が看護師にとって、研究を行うデスクがないことも大きな問題です。
たいてい、スタッフ医師であれば自分のデスクがあります。
看護師は、共有で使えるデスクすらありません。
だから、真夜中にデータ集積を行ったりしていました。

このように看護師が研究を行おうとすれば、医師と比較して劣悪な環境が強いられます。
だからこそ、成果を出している看護師に対しては、インセンティブとしてデスクや給与などでの対価を教示する事が必要だと思っています。

パレートの法則

これは、80:20の法則とも言われます。
組織の収益は20%の者によって得られているというものです。
この20%の頑張りがあるおかげで、残りの8割は逆にいえばボーッとして仕事しているものもでてくるわけです。

面白いのは、上位20%が抜けたとしてもその中から新たに、10%の人材が創出されるということも興味深いです。

この80:20の法則は色んなものに該当します。
医療現場では、専門家であれば80%の専門的知識と20%の全般的な知識になります。
逆に総合診療の専門家であれば、全般的知識が80%で部分的な知識が20%になります。

当然ですが、上位20%が稼ぎ頭であるのならば、その20%により多くの給与としての配分を提供することが必要です。
看護師の世界は、先に書いてきましたようにいくら勉强しても、給与があがりません。
これが、看護の世界をダメにしている元凶であるともいえます。

勉强しなくても、なれる看護師であれば、勉強するという行為は自己満足にすぎません。
つまり、他者に認められていないということですので、いくら勉强した看護師と勉強を積み重ねてきた看護師であれば、勉强しないもののほうが合理的でるといえます。

患者さんに何かあっても、すぐにDr.callすればよいだけですから楽です。
しかし、看護の自律のためには、看護を科学的に検討し提示する必要があります。
だからこそ、勉强してアウトカムを提示できる看護師には、給与を多く支払い、それをある程度可視化することで、上を目指す看護師が増えてくるものと推測されます。

つまり、看護師が成長しないのは看護師が悪いと言うよりは、現行のシステムに大きな問題があると言えます。
看護師が勉強と実践をするサイクルを構築できれば、優秀な看護師は今より確実に増えるでしょう。

まとめ

看護師は正しい知識をもち、アウトカムを提示できるようにしましょう。
自分が行った看護を正当化するためには、同じ看護師よりも高い給与を得られるシステム構築が重要です。

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