総合診療内科 診療科

点滴/輸液の考え方:細胞外液

点滴って、いくつか種類種類があるけど、どうやって選んでいるんだろう?

点滴・輸液製剤の種類

  • 細胞外液
  • 細胞内液
  • アルブミン

細胞外液

輸液の基本です
細胞外液とは、血液と同じ様な成分の輸液の事です

輸液を考える時の血液成分

  • ナトリウム(Na)
  • カリウム(K)
  • クロール(Cl)

他にもカルシウムとか気にすることはありますが、一般的にこの3つを気にすれば良いです

細胞外液を輸液すると血管の中にはどの程度残るのか

血管の中に点滴してるんだから全部入る、というのは間違いです
張度や浸透圧など、少し複雑な話になるので、細胞外液を点滴したら、1/4だけが血管の中に残ると憶えます

ちなみに、輸血は輸血した血液が全て血管の中に残ると憶えます(ほんとは違います)
ということは、輸血を行うと少量でも輸液による負荷の可能性に繋がります

ほんとは輸液の分布に関しては、グリコカリックスという血管内皮細胞などの影響に左右されますが、コンパートメントモデルという古典的でわかりやすいモデル上での話です

人の血液中の電解質

  • Na 140 mEq/L
  • K 4.0 mEq/L
  • Cl 100 mEq/L

人により幅はありますが、ざっくりこの程度です
細胞外液は、この成分に似せて作られています

生理食塩水は生理的ではない

King of 細胞外液といえるのが、生理食塩水です
実はこの生理食塩水は、全然生理的ではありません

  • Na 154 mEq/L
  • Cl 154 mEq/L

Naは正常より14程度高いですが、Clはなんと54も高いのです
このNaの高さに加え、Clの尋常ではない高さが非生理的なのです(話盛ってます)

生理食塩水を輸液し続けるとどうなるか

血清Clが上昇して、NaとClのギャップが狭くなります
Na-Cl=通常35−40程度になるはずですが、このギャップが狭くなるということはアシドーシスに(酸性)になります

つまり、生食を輸液し続けるとアシドーシスになり、最悪死亡してしまう可能性もあります(ただし、とても大量の生食輸液の話です)

最近は、高Clによる腎傷害への影響も示唆されていますので、いわゆる急性腎障害でおこなうプロトコール(AKIバンドル)でも、細胞外液(Balanced crystalloid)が推奨されています

細胞外液の3種類の緩衝物質

  • 乳酸(乳酸リンゲル)
  • 酢酸(酢酸リンゲル)
  • 重炭酸(重炭酸リンゲル)

生理食塩水に含まれる塩分

0.9%Naclですので、その名の通り0.9%が塩分です

Na1g = 17mEq

ざっくり、100mlで1gと憶えましょう
ですので、生食500mlで5gの塩分になります

心不全では減塩食が6g/d制限ですので、輸液1本で頑張りがチャラになります

リンゲル液

このように、血液成分に近い形に組成された輸液製剤のことを通称リンゲル液と呼びます

長崎ちゃんぽんで有名なリンゲルさんと、リンゲル液を開発したリンゲルさんは兄弟です

もう少しかっこよく言えば、Balanced crystalloidです
クリスタロイドは晶質液のことで、調整された晶質液の事になります

リンゲル液は、代謝される場所が異なる

  • 乳酸は肝臓
  • 酢酸は筋肉など
  • 重炭酸はそのまま

ですので、肝臓が悪い人は乳酸を代謝しずらいのでは?といわれ、酢酸リンゲルを好んで使用する方もいます

まとめ

  • まず、輸液の時に選択するのは生理食塩水を含む、細胞外液です
  • 生食500mlで約5gの塩分負荷になります
  • 塩1gは17mEqですので、憶えておきましょう
  • 生食の大量輸液は、高クロール血症の原因や腎傷害の原因になります

にほんブログ村 サラリーマン日記ブログへにほんブログ村 サラリーマン日記ブログ アラフィフサラリーマンへブログランキング・にほんブログ村へ

-総合診療内科, 診療科
-