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4大感染症
- 肺炎
- 尿路感染症
- 肝胆道系感染症
- 皮膚軟部組織感染症
皮膚軟部組織感染症
以外に多い、発熱の原因です
有名なものでは、褥瘡や蜂窩織炎などです
伝染性膿痂疹
いわゆる「とびひ」です
虫さされなどの皮膚の損傷に、細菌感染を伴うことで発症します
子供の手を介して感染が伝播します
MRSAによるとびひも、散見されるようです
丹毒
境界明瞭、真皮の感染症で、顔面や下腿に生じます
全身を観察すればわかる感染症ですので、皮膚の炎症所見がないかチェックしましょう
せつ・よう・毛嚢炎
毛包の感染症
1つの毛包に限局しているものが、せつ
複数の毛包に及ぶものを、よう
毛巣洞、別名ジープ病と呼ばれる、仙骨部の毛嚢炎は、時に重篤化しフルニエ壊疽という広範にデブリードメントが必要になることもあります
蜂窩織炎
真皮から皮下脂肪層までの炎症です
やっかいなのは、壊死性筋膜炎との鑑別が非常に困難な場合があることです
通常RICEといって、足の挙上・クーリング・安静・(固定)を行います
ほとんどが足の炎症ですが、全身の皮膚どこにでも発症します
エントリー(最近の侵入門戸)が通常あります、アトピーに伴う皮膚損傷や、多いのは水虫による皮膚損傷です
蜂窩織炎の場合抗菌薬治療を行いますが、通常入院を要する抗菌薬治療の前には血液培養を採取しますが、この血液培養の陽性率が(報告にもよりますが)、5%未満とも言われています
個人的には、血液培養陽性率が低い=血液培養を採取しなくても良い、ではないと思います
経験的ですが、蜂窩織炎でも血流感染を来していることは多く、特に壊死性筋膜炎が考慮される場合には必須だと思います
壊死性筋膜炎
蜂窩織炎との鑑別が重要です
壊死性筋膜炎の可能性が高いと思われる場合は、壊死性筋膜炎に順じて対応した方が無難です
例えば、壊死性筋膜炎ですと、広範なデブリードメントが必要になりますが、手術したところ脂肪織炎(重症蜂窩織炎)だったということもありますが、明確な診断が困難である以上、手術の適応の閾値は低くても良いような気がします
壊死性筋膜炎(NF)を疑った場合は、フィンガーテストを行います。
小切開を行い指を入れ、筋膜の壊死がある場合、筋肉と皮下組織が容易に分離される所見の事のようです
原因菌で有名なのは、通称人食いバクテリアである、A群溶連菌ですが、タイプIとタイプIIがあり、タイプIIの場合はA群溶連菌以外の複数菌でも起こりえます
LRINECスコア
壊死性筋膜炎の可能性を高めるスコアリングです
6点以上は、壊死性筋膜炎を疑います、8点以上はハイリスクとなります
CRP: ≥15 ▶ +4
WBC:15000〜25000 ▶ +1
>25000 ▶ +2
Hb(g/dl): 11〜13.5 ▶ +1
<11 ▶ +2
Na(mEq/L): <135 ▶ +2
Cre(mg/dl): >1.59 ▶ +2
Glu(mg/dl): >180 ▶ +1
単純ヘルペス
単純ヘルペスウイルス(HSV-1または2)が原因
口唇など、皮膚や粘膜に限局性に発症する
水痘帯状疱疹
水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)
HSVは神経繊維内だが、VZVは神経束なので、神経の分布に沿って広がる
顔面の場合は、鼻の頭に病変が及ぶ場合(Hutchingson徴候)は、三叉神経第1枝領域でも、毛様体神経への影響による失明の可能性もあるため、治療介入後眼科受診による評価が必要です
ラムゼイハント症候群とBell麻痺
耳介周囲の帯状疱疹に伴い、顔面神経麻痺、耳鳴・難聴・めまい等の3徴を伴う、第8脳神経症状を伴います
Bell麻痺:原因不明の1側性の顔面神経麻痺で、HSV-1が原因と考えられています
Bell麻痺に限りませんが、早期治療(72時間以内)が望ましいとされています
褥瘡
発熱の原因としては外せないです
熱がある場合は、ズボンを下げて仙骨部に褥瘡がないか確認しましょう
特にこの辺は、医師が非常に観察が苦手な部位なので、看護師さんの報告はとても助かります
とはいえ、予防も重要です
体位交換は、普通のベッドであれば2時間毎、体圧分散マットレスであれば4時間毎でもよさそうです
栄養に関してもナースが得意な部分で、特に高齢者が食べられないのには食形態や嗜好など何らかの問題がある場合がありますので、そのあたりの調整は積極的に行うべきです
褥瘡が深部に及ぶ場合は、仙骨部の骨髄炎を来している場合があります
骨髄炎
骨髄炎を来すと、4−6週間程度の抗菌薬治療が必要になります
また、その間に創部が改善すればよいのですが、抗菌薬治療を行いながらなかなか改善しない場合もあると思います
つまり、予防につきます
褥瘡にいいも悪いもありませんが、少なくとも深い褥瘡は作るべきではないです
まとめ
- 発熱の原因として、皮膚軟部組織感染症があります
- 皮膚は人体最大の臓器であり、原因が多岐に及びます
- 今回は治療には言及していませんが、原因に応じた適切な治療を行う必要があります
- その中でも、壊死性筋膜炎は常に考慮しましょう
- 皮膚軟部組織感染症の侵入門戸(エントリー)は皮膚なので、予防(スキンケア)は重要です