総合診療内科 診療科

発熱の原因:尿路感染症

4大感染症

  • 肺炎
  • 尿路感染症
  • 肝胆道系感染症
  • 皮膚軟部組織感染症

診断

除外診断です

尿路感染症以の感染症の原因がない場合で、膿尿細菌尿を伴う場合疑います
身体所見ではCVA叩打痛(腎臓を外側から叩打します)、画像所見ではGerota筋膜の肥厚など、総合的に判断して慎重に判断します

CVA叩打痛はかなり痛いので、最初は優しく行い、痛みが無ければ徐々に強くしましょう、そして左右差があるかを必ず観察しましょう

尿路感染症はよくある病気ですが、診断するのはとてもむずかしい疾患です

問診では、尿路感染症様症状3つは聞きましょう

  • 頻尿
  • 残尿感
  • 排尿時痛

尿路感染症の種類

  • 腎盂腎炎
  • 膀胱炎

膀胱炎は、女性にとても多いよくある疾患です
通常、抗菌薬治療は不要で、飲水を促し、尿をたくさん出すことが主な治療です

妊婦の方は、特別で抗菌薬治療の適応になります

無症候性細菌尿

通常、尿は無菌状態です
ところが、特に症状がなくても、尿中に細菌がいる方がいます
そのような方々は、無症候性細菌尿と呼びます
通常治療は不要ですが、無症候性細菌尿の方は、尿路感染症を来しやすいとされています

妊婦の方は特別で、治療が必要になります

腎盂腎炎の種類

  • 単純性尿路感染症
  • 複雑性尿路感染症

複雑性は、尿路において閉塞起点があるということです
具体的には、尿管結石・尿閉が多く、その他腫瘍などもあります

なぜ複雑性と単純性に分けるのかといいいますと、治療方針がガラリと変わるからです
また、治療対象とすべき細菌も種類が増えます

単純性の場合は、抗菌薬治療のみで通常良くなります
複雑性の場合は、ステント留置や尿道カテーテル留置が必要になります

原因菌と抗菌薬

腸内細菌

  • 大腸菌
  • クレブシエラ
  • プロテウス  など

ほとんど大腸菌です
大腸菌以外だとしても、いわゆる腸内細菌です

ブドウ球菌は、たまに尿培養より検出されますが、単純性尿路感染症では一般的に相手にしません
疫学的には、(特に市中感染では)大腸菌を念頭におけば、だいたい治療はうまくいきます

ところが近年、この大腸菌も特定の抗菌薬が効かないものが、続々と出てきていますので注意が必要です

特に、基質拡張型ベータラクタマーゼ(ESBL)は念頭に置くべきです

ESBLはメロペネムなどのカルバペネム系抗菌薬しか通常効かないとされています
セフメタゾールというセファマイシン系の抗菌薬も、効くとされています

他には、セフメタゾールの出荷制限の際に少しだけ脚光を浴びた、フロモキセフという抗菌薬もありますが、出荷制限解除後は日の目を見ない日々が続いています

ちなみに、セフメタゾールもフロモキセフも日本の薬です
セフメタゾールはまだ良いのですが、フロモキセフは適切な使用量がよくわかっていません

抗菌薬

セフォチアム(パンスポリン®)
セフトリアキソン(ロセフィン®)
セフメタゾール(セフメタゾール®)
ピペラシリンタゾバクタム(ゾシン®)

などが経静脈的には使用されます
主に腸内細菌を狙います

尿路感染症は通常単一菌種ですので、培養結果が判明すれば、特定の細菌だけを狙い撃ちできる抗菌薬に変更します

通常治療期間は、7ー14日程度です
途中で内服薬への変更を行うこともあります

治療効果判定

尿路感染症も他の感染症と同じく、抗菌薬治療開始後72時間で評価します
尿路感染症様症状の改善
VCA叩打痛の改善

発熱や血液炎症データなど、全身所見の改善などを観察します

男性の尿路感染症

特に若年者では、複雑性尿路感染症として対処します

直腸診で前立腺の圧痛がないかは、必ず確認しましょう

男性の尿路感染症は通常まれですので、前立腺炎の可能性は常に考慮しましょう

まとめ

尿路感染症は、3つの症状(頻尿・排尿時痛・残尿感)を聞き、治療開始後改善しているか評価しましょう
身体所見はCVA叩打痛の左右差があるか、治療開始後改善しているかを観察しよう

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