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あめいろぐ
あめいろぐとは、アメリカの医療ブログの事です。
単なる医療ブログというよりは、大変優秀な有志が集ってブログを書いているようです。
そのブログを基に、書籍とされています。
個人的には、あめいろぐはホスピタリスト版も持っていますが、今回は高齢者医療版を購入しました。
Amazonアウトレット
この本は、Amazonアウトレットで購入しました。
アウトレットは多少傷などがあったとしても、書籍はどうせすぐにボロボロになるのであまり気にせず購入しています。
とてもありがたい制度で、普通に売るには売りづらい商品を比較的安価で売っていますので、双方にとっても利点が大きいと言えます。
高齢者医療とは
この本を読んで、私の理解は素人なりに、それほどハズレていないのかな、と感じました。
というのも、そもそも「in elderly」のようなタイトルに高齢者と謳っているものでも、65歳以上が対象患者さんであることが多いです。
けれども実際の臨床では、65歳はまだぴちぴちの若者です。
高齢者を相手にしている医療者の方々の多くは、90歳前後が平均的な年齢では無いでしょうか。
また、誤解されがちですが、平均寿命はあくまでも平均です。
平均は、極端な低年齢での死亡などがあることで、一気に平均が下方修正されてしまいます。
一方、最頻値といって死亡する年齢で最も多いのは、90歳程度といわれています。
研究がない
そうなると、90歳を対象にした研究などかなり数が限られてきます。
例えば、ACE阻害薬という心不全では必須とも言える薬剤があります。
これは、長期生命予後を改善させるために、多くの患者さんに使用されています。
しかし、90歳だとどうでしょう。
長期予後といっても、これから先10年、生きる事ができるでしょうか。
比較的元気な90歳であれば、ACE阻害薬を使用するという選択もありだと思います。
ただ、血圧が低下してしまう90歳にとっては、利点よりも欠点が大きくなってしまいます。
ポリファーマシー
ポリファーマシーの問題点も浮上してきます。
比較的根拠のある薬剤を使用すると、とくに循環器系では薬剤が必然的に多くなります。
4剤や5剤を超えると、ポリファーマシーといわれ、多剤服用の副作用のほうが強く出るとされています。
高齢者は薬物の吸収は変わりませんが、薬物の代謝や排泄の機能低下により、問題がおきます。
4つの薬理学的作用
吸収・分布・代謝・排泄
先程書いたように、高齢者は腸管から吸収される機能低下は少ないとされています。
しかし、他の代謝や排泄など、薬物を適切に処理する機能の低下が起きます。
そのため、薬を使用する際には少量から開始というのが鉄則です。
特に高齢者の場合は、脱水などで容易に腎機能が低下します。
そうなると、腎排泄の薬剤は腎機能悪化と共に蓄積していく可能性も秘めています。
Geriatric giants
これは、文献により様々だと思われますが、高齢者でよく起こる機能障害4つのことです。
具体的には
- 認知症
- うつ
- 尿失禁
- 転倒
6つの場合は
- 認知症
- 歩行障害
- 失禁
- 医原性
- 起きられない
- 自身の健康管理ができない
これらを、老年医学の巨人と呼んでいます。
老年医学では、これらの巨人に立ち向かって行く必要があります。
尿失禁のDIAPPERS
尿失禁は、まずは尿失禁であることに気づく事が重要です。
そして、急性の尿失禁の場合は治せる可能性があります。
治療可能な認知症の代表疾患である、特発性正常圧水頭症(iNPH)の場合は、尿失禁・歩行障害・認知症の3徴が特徴的です。
iNPHの場合は、認知症や歩行障害も改善しますので、原因の検索は重要です。
おわりに
今回紹介していないものもたくさんあり、特に看取りへの介入などは今後はこの様な自然な看取りが積極的に行なわれていくべきです。
高齢者医療は、強固な根拠に基づいて行なわれているわけではありませんので、いわゆるEBMの観点からはアプローチが難しいです。
かくゆうわたしも、その一人です。
高齢者に限りませんが、若年者と比較して先の短い高齢者の場合は、ナラティブも重要になります。
人工呼吸器の微調整を行うように、人一人一人に最適な介入を行い、Sheard decision makingを行っていくこともまた重要な事だと感じました。