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結論
「先生」と呼ばれる職業は、立派な方が多い
一方で、人の上に立つ人間であると勘違いしている人も多い
呼称の重要性
Yahoo! ニュースに、大阪府議会で議員の事を「先生」と呼ばないで、という議案が話し合われたそうです。
「先生」について、考えて見たいと思います。
先生と呼ばれる代表的な職業
一般的に、「先生」と呼ばれている人は、医師・弁護士・教師などが代表的です。
この「先生」たちは、医療者側からすれば(私見ですが)診たくない代表です。
何故、診たくないのかというと、日頃他人に対して指示を出しているような職業だからです。
日頃から、自分の思うように動いてくれないと、すぐに気分を害します(あくまでも経験則です)。
例えば、医師が入院した場合でも、「先生」と呼ばれている事も珍しくありません。
本来は、患者さんであるはずなのに、先生なのは少しおかしい気もします。
「先生」の上手な使いかた
一方で、認知症対策としてはあえて「先生」と呼ぶこともあります。
認知症の代表であるアルツハイマー型認知症の場合は、昔のことをよく覚えています。
医療者側も、認知症患者さんと接するときは、その患者さんが最も輝いていた時を想像しながら接してくださいと言われます。
実際に、昔話をすると色々教えてくれます。
リクルート事件で有名になった、江副浩正さんは社員の事を名前が読んでいたそうです。
しかし、500人とかを超えてくると流石に憶えられない。
そのため、名前がわからない人には「先生」と呼んでいたようです。
先生と呼ばれて、悪い気がする人は少ないからという事らしいですが、そのような気遣いこそが組織の成長には重要であると感じます。
呼称の重要性は文脈依存性
では、呼称を変更することでの効果はあるのでしょうか。
言語ゲームで有名なウィトゲンシュタインは、文脈依存性であるといっています。
例えば、単語である「りんご」だけでは何も伝わらない。
りんごを食べたいのか、とってほしいのかなど、文脈が無いと伝わりません。
「先生」と呼ばれる職業の方には、阿吽の呼吸で何でも物品を出してくれたり、書類を出してくれたりすると思っている人がいます。
これは、結構間違いです。
ウィトゲンシュタインが言っているように、文脈は適切に伝えなければ何も伝わりません。
阿吽の呼吸は難しい
看護師は、「指示をちゃんとだしてください」と言います。
けれども、医師はそのくらい分かるだろ、といいます。
これは、どちらの主張も正しいです。
そのくらい分かると思っているのはよくあることです。
このあたりの齟齬を解決するには、「教育」するしかありません。
もしくは、システムとしての構築も有用です。
例えば、「カテーテルを入れるための準備をしてください」と指示を出したとします。
看護師側は、「何を準備すれば良いですか」となります。
指示は具体的に出す
医師側は、これとコレトコレを準備してください、と指示書に記載します。
これは少し極端な例ですが、似たようなことは常日頃行われています。
収縮期血圧が180以上で医師報告、という指示があったとします。
看護師側は、指示に従って医師へ報告します。
医師側は症状が無いので、経過観察にしたとします。
次の勤務帯でやはり血圧が高いので、医師へ報告します。
つぎは、医師から「さっきも言った」と怒られる場合があります。
報告をしてください、と指示書に書いているから報告したのに、ということになります。
つまり、指示書を記載し直すか、明確な申し送りがなされるような具体的な指示を出す必要があると言えます。
最近は、大病院でも偉そうな医師や看護師は随分減ってきました。
それでも、勘違いしている人はたくさんいます。
診療看護師NPも勘違いしないで
診療看護師NPの場合も同様に、看護師へ「カテーテルの準備をしてください」と伝えましたが、多忙のため準備が遅れることがあります。
その結果、「準備もしてくれない」と勘違いしてしまうのです。
診療看護師NPの利点は「看護師経験」ですので、自分で準備するくらいの気概が必要です。
これは、「先生」と似た議論で、看護師よりも上の立場であると勘違いしている代表と言えるでしょう。
医師の場合、医学系大学院以外の大学院へ進学すると、〇〇さんと呼ばれます。
客観的には、違和感を感じますが、違和感を感じるということは自分自身が医療の「先生」の世界に染まってしまっているということです。
看護師も、患者さんや家族に「先生」が〇〇といった説明を行っています。
医師も看護師も医療者サイドなので、説明するときはできれば「〇〇医師」とか「固有名詞」を使うほうがスマートでしょう。
この看護師の、患者さんやその家族への説明に「先生」を使うのは、逆に違和感を感じています。
まとめ
先生と呼ばれる職業は世間的に立派な職業である場合が多い
けれども、実際の態度は立派とは言えない場合もしばしばある
勘違いさせないためには、「先生呼称」を禁止するのもありかもしれない