Contents
4大感染症
- 肺炎
- 尿路感染症
- 肝胆道系感染症
- 皮膚軟部組織感染症
肝胆道系感染症
- 胆嚢炎
- 胆管炎
胆嚢炎
有名は5F(白色・肥満・中年・女性・多産)に多いとされています
胆汁は食事の後、特に油ものを食べた後に、出しますので食後に発作が出ることが多いです
他に、嘔気・嘔吐・食思不振などの症状を伴います
胆石を保有している方ですと、胆石発作との鑑別(見分け方)が重要になってきます
胆石発作
通常発作の時間は、6時間以内とされています
肝胆道系の血液データ(AST・ALT・ALP・γGTPなど)の上昇は通常起きません
胆嚢炎でも、肝胆道系の酵素の上昇は必須項目ではありません
そのため、胆嚢炎と胆石発作の区別は難しくなります
通常、6時間以内の疝痛発作ですので、6時間様子を見て改善しなければ胆嚢炎の可能性を積極的に考慮するべきです
胆嚢炎の診断
- (A) 症状(みぎ季肋部痛などの痛み)
- (B) 炎症所見(発熱・CRP上昇・白血球上昇)
- (C) 画像所見(エコーやCT)
これら、3項目中(A)を含む2項目以上を満たせば擬診/診断とされます
身体所見
- マーフィーサイン
- 肝叩打痛
マーフィーサイン
診断に必要な検査であり、最も有名な検査です
マーフィーサインとは、みぎ季肋部に検者の右手をなるべく深く挿入し、深呼吸をしたさいに、息が吸えなくなり止まる現象のことをいいます
よく勘違いされるのは、痛みが誘発されることと混同している場合がありますので、しっかり覚えておきましょう
ちなみに尿管結石や腎盂腎炎で行う、CVA叩打痛(肋骨脊柱角叩打痛)は、別名マーフィーパンチと呼ばれるそうです
https://www.youtube.com/watch?v=RbsEQBNcFeE
肝叩打痛
検者の左手を肝臓付近にあてて、左手の上から右手で拳を作り小指側で叩打する検査です
この叩打で、痛みが誘発されれば胆嚢炎の可能性が上がるとされています(厳密には痛みが無ければ胆嚢炎の可能性は高い精度で低くなります)
つまり、肝叩打痛は感度の高い検査といえます
逆に、マーフィー徴候は多少のコツが必要になるということだと思います
Sonographic Murphy sign (US マーフィー)
超音波を使った身体検査でマーフィー徴候を見る所見です
患者さんの右季肋部より胆嚢を描出し、見つけた胆嚢を目掛けて、マーフィ検査を行うものです
実際に直接胆嚢をエコープローベで押すことができますので、こちらもマーフィーよりも精度の高い検査とされています
エコー所見
Mindsのガイドラインには、Murphy signの他には
- 8x4cm以上の胆嚢腫大
- 胆嚢壁肥厚4mm以上
と記載されていますが、参考図書で多少の違いはありそうです
他に、Double wall signという、浮腫を示す所見を呈します
胆管炎の診断
- (A) 症状(発熱・血液炎症データ上昇)
- (B) 胆汁うっ滞(黄疸・肝胆道系酵素上昇)
- (C) 画像(胆管拡張など)
Aに加え、2項目以上で擬診/診断
胆管炎の場合は胆嚢炎と異なり、肝胆道系酵素の上昇など、血液データ異常所見が目立ちます
治療
胆嚢炎・胆管炎どちらも、抗菌薬は必須です
抗菌薬投与前にやることは、血液培養2セット採取です
ショックや臓器障害を伴うようであれば、外科的処置が検討されます
胆嚢炎であれば、ドレナージや胆嚢切除術
胆管炎であれば、ドレナージの他に、内視鏡的に胆管結石除去や胆管ステント留置等が行われます
Tokyo guideline
日本が世界に誇る?ガイドラインがあります
スマートフォン用のアプリもありますので、参考になると思います
まとめ
- 胆嚢炎は血液データや画像所見よりも、身体所見が最も重要
- 胆管炎は、血液データ異常が目立ちますが、敗血症として迅速な対応が必要になることが多い
- Tokyo guidelineを参考にしましょう