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一般的な血液検査の種類
生化学検査
たとえば、腎機能とか肝機能とか、CRPと呼ばれる血液の炎症の程度を調べる検査が、生化学検査です。
血液算定検査
これは、名前の通り血液の数を算定する検査です。
通称、血算とかCBCと呼ばれています。
血算では、主に血球をみます。
血球とは、白血球、赤血球、血小板です。
まずは、この3つが基準値内かどうかをみます。
とはいえ、臨床的には、赤血球の値よりは、ヘモグロビン(Hb)の値が採用されています。
Hbは、赤血球の中でヘムとグロビンが結合した赤血球のことです。
そのため、一般的には赤血球が低いとHbも低くなります(例外もあります)。
ヘモグロビンは、酸素を運搬するのに重要な因子の1つです。
酸素運搬に重要な3つの因子とは
- 心拍出量
- ヘモグロビン
- 酸素飽和度
以上の、3つです。
低酸素の何が悪いのか
通常の状態では、酸素を末梢の組織(細胞)が上手に利用できることが重要になります。
そのため、末梢組織での酸素利用障害がなければ、これらの3つのパラメーターは正常もしくは、ほかのどちらかが頑張っていることになります。
例えば、Hbが低値であれば、心拍出量を上げるために心臓が頑張りますし、貧血になれば酸素飽和度も一般的には上昇します。
酸素飽和度も、Hb全体の中でどのくらい酸素と結合しているかということですので、貧血であればHb自体が少なくなりますので、酸素が飽和しやすくなります。
逆に、Hbが高い場合はそれほど頑張って結合する必要もありませんので、酸素飽和度自体は低くても構わないということになります。
ヘモグロビン
血液算定検査での、ヘモグロビンの見方は高いか低いかを見ます。
低い場合は、貧血ですのでその後に、MCVを見ます。
MCVとは、平均赤血球容積のことです。
単純に、MCVが低い場合は鉄欠乏性貧血、MCVが高い場合は巨赤芽球性貧血などの原因が検討されます。
MCVが低い場合を小球性貧血、MCVが高い場合を大球性貧血と呼んでいます。
輸血目標
Hbが以下の場合には、赤血球輸血が検討されます。
- 急性の場合は、Hb7.0g/dl以上を目安
- 輸血慢性の場合は、Hb6.0g/dl以上を目安
- 心不全の場合は、Hb8.0g/dl以上を目安
これで、Hb、MCV、RBC(赤血球)が見れるようになりました。
ヘマトクリット
他には、ヘマトクリット(Hct)があります。
Hctは、血液全体に占める赤血球の割合の事です。
例えば、血液が濃くなっても赤血球の値は変わりませんので、Hctは上昇します。
逆に血液が薄まると、Hctが低下します。
米国のスコアリング等では良く出てきますので、米国でよく使われているのだと思います。
日本では、ちゃんとみますけど、Hbの値が最も重要視されているような気がしています。
少しアドバンスドですが、Reticulocyte indexと呼ばれる、増結能を推定する検査があります。
このときは、Reticulocyte(網状赤血球)とヘマトクリットの値が必要になります。
血小板
臨床的に問題になることが多いのは、血小板の減少です。
血小板は、重症患者では低下が問題となります。
いわゆる、播種性血管内凝固症候群(DIC)と呼ばれる状態です。
DICの基本原則としては、原疾患の改善ですが、日本ではDIC自体に対する治療介入に関する検討が数多く行われています。
他には、ヘパリンを使用することで、血小板が減少することもあります。
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)と呼ばれるものです。
ヘパリンは、点滴のロックなど、使用頻度の高い薬剤ですので、血小板が減少した際には、ヘパリンを使用していないかはチェックする必要があります。
一般的な、血小板輸血の適応
- 頭蓋内出血/手術や眼科手術:10万未満
- 一般的な手術や出血傾向を伴う血小板減少:5万未満
- 内視鏡治療:5万
- 内視鏡処置:2万
- 気管支肺胞洗浄:2−3万
- 中心静脈カテーテル留置:2万
- 血液疾患を伴う腰椎穿刺:1ー2万
- 血液疾患を伴わない腰椎穿刺:4ー5万
- 硬膜外麻酔:8万
- 骨髄穿刺/生検:2万
国家試験対策としては、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)では、血小板輸血は一般的に禁忌とされています。
血小板増加
多くは、炎症に伴うものです。
高値が継続する場合は、血小板増多症の可能性が考慮されます。
まとめ
血算は、ヘモグロビン、血小板、白血球を主に見ています。
これらの異常があれば、次にみるべき項目を参照します。
一般的な輸血の適応は、覚えておきましょう。