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結論
公募企画は,とてもよい在り方だと思います
一方で学術集会の場合は,収支の問題も考えてプレゼンする必要があり,そのような観点からも応募側が考えてくれるということは,自律・自立への第一歩だと思います
日本NP学会学術集会
2024年に第10回が行われ,第11回は島根での開催になります.
学術集会は,規模が大きくなれば数千人を収容できる会議場がまず必要です.
そのため,主要な学術集会は主要都市でしか行われません.
また,数千人の宿泊先があることも必須条件です.
加えて,アクセスが良いということも重要です.
日本や世界から集まってくるには,アクセスの良さは重要です.
駅から会場までの距離が遠すぎる場合などは,公共交通機関も混雑します.
得のバスの場合は,乗車人数が限られますので主催者側は色々考える事が必要になります.
NP学会の場合,参加者は1000人程度ですのでまだ地方都市でも開催できています.
今後は,主要都市でしか開催できないくらい大きな学会になっていくと良いな,と思っています.
さて,第11回のNP学会では公募企画を募集しています.
わたしの周りでも,いろいろな方が公募について協議しています.
所属施設からは,なかなか盛り上がりに欠け,温度差を感じています.
素案
そんな環境ですが,素案を書いてみたいと思います.
お知らせには,以下のような問題をクリアする必要があるようでした.
1. 企画の独創性・新規性
2. 学術的意義
3. 実現可能性
4. 会員の関心度
5. 予算計画の妥当性
タイトル
当院で診療看護師(NP)が寄与する各集中治療室(ICU)での超音波の特徴
はじめに
集中治療室(ICU)では,多臓器障害を伴う臓器横断的診療が特徴である.
医師が行う放射線診断も,単純X線から,コンピュータ断層診断装置(CT),磁気共鳴画像診断(MRI)に加え,近年では組織代謝を利用した診断が一般的に使用されている.
我々看護師は,それらの画像検査の適応や検査結果のアセスメントを通じて,日々の臨床実践に応用している.
画像検査のモダリティには各々,得意不得意があり,急性期脳梗塞診断においてはCTよりもMRIのほうが圧倒的に優れているのは周知の事実である.
昨今低侵襲で簡便に,かつベッドサイドで行える検査として超音波検査がある.
超音波検査においても,得意不得意が当然存在するが,CTなどの画像検査の不得意な部分を補うことも可能である.
例えば,現在の一般的なCT検査では”動的”な評価は困難である.
一方,超音波検査は”動的”な検査を得意としている.
例えば,心臓超音波検査や下大静脈の呼吸性変動などは,その代表である.
超音波検査の欠点としては,検査者を選ぶということである.
同一の超音波機器を用いても,画像の描出が異なることは稀ではない.
すなわちこれらの検査結果は,臨床的な評価において,ある程度の信頼性・妥当性が必要ということになる.
当院では,6つのユニットを持ち,各ユニットの診療看護師(NP)はどのような根拠を基に,どのような手法で超音波検査を行っているのかを解説し,各ユニットでの特徴的な超音波検査において紹介したい.
施設の紹介
当院のICUは大きく,以下6つのユニットに分類される.
救急患者が主な対象のEICU
救急患者が主な対象のEHCU
神経疾患が主なNICU
小児対象のPICU
循環器疾患が対象のCCU(心臓外科を含むCTICU)
定期手術後が主なGHCU
診療看護師(NP)は,麻酔科管理のGHCUを除く5つのユニットで活動を行っている.
加えて,救急外来(ER)での勤務も行っている.
各ユニットでの超音波検査の特徴
ER
ERでは,大まかな形態学的な評価や,ショックの除外・評価目的に使用されている.
例えば,外傷患者では古典的に行われているFAST,E-FASTで心膜内・胸腔内・腹腔内の液体貯留,具体的には出血の精査を目的に行われる.
CT撮像が行え無いほど安定していない場合は,特に鋭的外傷ではCT撮像前に,緊急開胸開腹が行われることもある.
体腔内の出血の根拠を得るために,FASTにが行われる.
外傷以外にもショックの症例は多く,下大静脈が拡張するタイプのショックとそうでないタイプのショックの場合,同じショックでもアプローチが異なる.
このような救急での超音波検査においては,迅速性が求められ,その後の方針決定と連続的な評価目的で使用される.
例えばショックのケースでは,一律に輸液ではなく,少なくとも心臓の壁運動が良好であることが確認できることは強みである,
一方収縮が低下した心不全の場合は,下大静脈が拡張し,心臓の壁運動も低下することとなる.
しかしながら患者はショック状態であり,輸液も選択されるシチュエーションであるが,輸液は害となる可能性もある.
このような状況では,輸液は必要最低限に行い,輸液反応性を確認することとなる.
その際に,LVOT-VTIの変化率で輸液反応性を定量的に評価することが可能である.
加えて下大静脈経は,輸液反応性指標として用いるには根拠が乏しいとされている.
しかし,推定右房圧推定の場合として用いることもかのうであり,輸液反応性の指標ではなく,うっ血の指標として用いることは可能である.
ERエコーまとめ
・外傷のFAST
・輸液を行う前後での迅速な形態学的評価
・ショックの際の,気胸・心膜液などの閉塞性ショックの要因検索
・心筋梗塞の際の,アシナジー検索
・肺塞栓などの右心負荷所見の検索
・皮膚軟部組織感染症,壊死性筋膜炎の評価
HCU
HCUの場合は,ICUと一般床の中間的な位置づけである.
ICU症例の場合は,病棟へのステップダウンユニットとしての目的もある.
病棟では重症だが,ICUほどでもない症例はHCUの対象となる.
HCUの場合は,人工呼吸,持続血液浄化療法など,ICUに準じた治療が行えるもの特徴的である.
すなわち,超音波検査での評価項目もICUと類似することとなるが,ここではより一般病棟向けの評価項目としたい.
入院中の発熱の際はまずは,感染症を想定する必要がある.
肺炎であれば,PLAPSならびに肺炎随伴性胸水などが観察される.
肝胆道系感染も多く,Sonographic murphyや胆管評価も行われる.
長期人工呼吸中の低酸素血症の場合は,気胸の除外目的にLun sliding signが確認される.
発熱の評価目的としては,深部静脈血栓症(DVT)の検索も特に近位部血栓の場合は有用である.
壊死性筋膜炎であれば,特にType Iの場合LRINECスコア上昇とともに筋膜評価を行うことも可能である.
長期人工呼吸の場合は,横隔膜評価としてTdiも評価される.
HCUまとめ
・発熱評価として,肝胆道系感染の評価
・皮膚軟部組織感染症の皮下膿瘍,筋膜炎所見の推定
・気胸の評価
・横隔膜の評価
・DVT評価
・PLAPSなどの肺炎や無気肺所見の確認
EICU
EICUの場合は,救急患者が対象である.
すなわち,敗血症,外傷,急性呼吸窮迫症候群,心停止蘇生後などである.
例えば,敗血症の場合は初期輸液が行われる.
目安としては30ml/kgとされているが,その量が果たして妥当なのかは不明である.
ICUに限らず行われるべきことは,正常血管内ボリューム,すなわちeu volemiaを保つということである.
体液量が多ければ除水を行い,体液量が少なければ補液が行われる.
たった1行でこのように表現されるものの,実際の体液量評価は難しい.
例えば,看護師特定行為でも「脱水症状に対する輸液による補正」「持続点滴中の利尿剤の調整」「急性血液浄化療法における血液透析又は血液透析濾過器の操作及び管理」という項目がある.
これらの特定行為を駆使することで,体液量を正常に管理することが可能であるはずである.
例えば敗血症の特徴は,血液分布異常性ショックが主な病態であり,循環血液量減少性ショックに関しては,本来病態からは補足的な位置づけであるはずである.
敗血症における大量輸液は,2000年のEarly goal directed therapy(EGDT)に代表される,目標志向型の輸液管理は1つの要因である.
現在の初期輸液の目安としては,30ml/kgが初期の負荷投与量と認識されている.
先にも述べたように,eu volemiaaという観点からは,初期輸液である30ml/kgは多い場合もあれば,少ない場合もあるはずである.
すなわち,一律な輸液量ではなく,必要な輸液量を何らかのパラメーターを持って設定する事が必要である.
過去にも肺動脈カテーテルをはじめ,様々なパラメータが有用な結果を残せず淘汰されてきた.
加えて肺動脈カテーテルの場合は,侵襲度も高く容易に留置することも困難であり,基本的には透視室での留置が基本とされている.
得られる成果の割には侵襲度が高く,肺動脈カテーテルは少なくとも敗血症診療に置いては淘汰されてきた.
一方で,超音波検査は基本的には非侵襲的かつ繰り返し評価できるという観点からも,使用して不利益が出るものではない.
当然,超音波の実施者や描出された画像については,評価が必要であり,解釈を間違えるようなことがあれば不利益となりうる.
日本版敗血症ガイドライン2024のバンドルでも,繰り返す心エコー検査が含まれている.
では,救急系ICUにおいて,eu volemiaの推定の1つとして超音波検査をどのように使うべきであろうか.
ライプニッツの充足理由律を例に挙げると,eu-volemiaと言うためには,HypervolemiaやHypovolemiaで無いという根拠が必要になります.
すなわちそれぞれの身体所見や超音波所見,検査所見を総合的に判断し評価する必要があります.
今回は超音波検査がテーマであり,超音波での評価について言及する.
Hypovolemiaの場合は,形態学的に左室・左房の虚脱,また下大静脈の虚脱などが血管内ヴォリュームを示唆する所見となりうる.
また,LVOT-VTIで輸液反応性評価を行うことも可能である.
推定右房圧として.下大静脈の径と呼吸性変動を評価し,動的な指標を取り入れることで,少なくとも輸液反応性が無い場合は,Hypervolemiaではない,すなわちhypovolemiaかeuvolemiaである可能性が高いといえる.
逆に臓器うっ血の場合は,VExUSを用いることで,肝静脈・門脈・腎静脈の評価を行い,うっ血の評価が可能である.
うっ血がある場合は,人工呼吸のPEEP,三尖弁逆流,腹腔内圧などの影響を受けるものの,VExUSでうっ血パターンを示すこととなる.
VExUSも動的評価として使用することも可能である.
例えば,受動的足上げテスト(PLR)の場合,約250ml程度の輸液負荷に近似するとされている.
すなわち,PLRでVExUSがうっ血パターン,もしくはうっ血パターンの増強を示す場合は輸液は害となる可能性が考慮されることとなる.
敗血症の場合は,来院時はHyperdynamic stateであったものが,経過とともに敗血症性心筋症の結果,低心機能となることも稀ではない.
輸液の必要性・反応性・忍容性に加えICU入室後の,心収縮の形態学的評価も重要である.
また近年では輸液の害が明らとなっており,超音波を使用した敗血症診療は重要である.
EICUまとめ
EICUでは敗血症診療の体軸の1つである,血管内ヴォリューム評価を行い,過剰・過小な輸液を避けることに寄与する
敗血症性心筋症の場合は,経過中に低心機能となる可能性もあり経時的評価が重要である
輸液反応性評価として,LVOT-VTIを用いた評価が可能である
輸液過多の指標として,VExUSを使用し臓器うっ血の評価が可能である
VExUSもPLRなどで動的に評価することが可能である
CCU
超音波検査は循環器領域での研究発展の結果,肺動脈カテーテル(PAC)の代用指標として現代ではメインの評価として用いられている.
循環器診療チームは当院の場合,TAVI・SHD・不整脈・心不全・冠動脈・CCUに分類されている.
いずれの診療チームにおいても,超音波検査は欠かせないものとなっている.
循環器診療での超音波検査で特徴的なものは,経食道超音波検査(TEE)が行われていることである.
昨今,TAVIやTEER,さらにはTriclipなど様々な弁膜症疾患のデバイスが発展している.
これらのデバイス留置において,TEEは適切な場所に3次元的にリアルタイムで留置するために欠かせないものとなっている.
今回はユニットでの心エコー検査かつ診療看護師(NP)が行う検査に限定しているため,TEEについては言及しない.
CCUは冠動脈疾患集中治療室であるCoronary care unitが語源であるCCUへ入室するメインはCritical care cardiologyである.
すなわち重症心不全を中心とした,循環器疾患全般が対象である.
CCUのような冠動脈疾患の場合は,特定の冠動脈が閉塞することで局在の壁運動の低下をきたし,それはAsynergyとして局所壁運動低下として認識される.
一方心筋炎の場合は,全般性に心収縮能が低下する.
これらの心機能低下は,相対的に体液量過剰を来たす.
すなわち,元気な頃の心臓は1分間に5Lのバケツで運ぶことができていたものが,心収縮の低下に伴い半分の2.5Lに低下した場合,5Lで元気よく回っていた循環血液量は過剰となる.
これらの循環を系統的に評価する場所が,CCUである.
3次元的な超音波の描出や,前方拍出としての弁膜症の評価など仔細に超音波検査を用いて評価が行われる.
救急系ICUの場合は,敗血症が多いというのもあり動的評価が優先されがちである.
すなわち輸液反応性指標としての使用として,現在のVolume status評価という意味合いが強い.
一方CCUの場合は,Contingency Plan(次のプラン)として,様々な奥の手が用意されている.
例えば,VA ECMO,IMPLLA,TEER,TAVIなどがその代表である.
これらの適応を評価するという観点からも,4次元的に心臓を評価するということが必要である.
そのような局面から,超音波検査は欠かせない相棒である.
CCUの場合は心臓を中心に議論しているが,救急系ICUの場合はMicro circulationを含む循環を意識していると言えるかもしれない.
CCUまとめ
循環の中心的役割を担う心臓の機能を強く意識している.
循環器医にとっては,循環を改善させるために治療のUp grade(機械的循環補助; MCS)を次の一手として常に考慮していおり形態学的な評価も重要である.
心エコーの基本であり,定量的評価も的確に行われている.
Neuro ICU
神経ICUの場合も,基本は同じで適正な体液量(Eu volemia)を保つという観点からは同じである.
例えば,くも膜下出血の場合のVolume statusはHypoにもHyperにもなりうる.
Hypoの場合は脳虚血のリスク,Hyperの場合は肺うっ血など心不全のリスクが考慮される.
そのような観点からは,通常の体液量管理としては同じである.
異なるのは,中枢神経という狭く進展しない頭蓋骨で閉鎖されたスペースに,損傷を受けると基本的には不可逆的な臓器である脳があるということである.
脳浮腫は頭蓋内圧亢進を来たし,その結果二次性脳損傷となり不可逆的な損傷を来すこととなる.
神経ICUの管理目標としては,何らかの原因(手術,外傷,内因性疾患,感染症,腫瘍など)で損傷された脳以外の健常な脳のレスキューである.
例えばARDS(急性呼吸窮迫症候群)の場合は,正常は肺と傷害された肺があり正常な肺(Baby lung)を守るために,肺保護換気(LPV)が行われる.
肺の場合は可逆的である可能性も残されているが,脳の場合は先に述べたように基本的には不可逆的な臓器であり,より厳密な管理が望まれる.
その代表として,頭蓋内圧の評価が挙げられる.
頭蓋内圧は一般的に,頭蓋内のどこかに頭蓋内圧モニターを留置し,圧を測定している.
侵襲が比較的少ないとはいえ,基本的には脳神経外科医が行う処置内容である.
かつ出血や感染症,脳損傷の可能性なども問題であり,リスクベネフィットを考慮され留置が行われる.
侵襲度からはCCUでの肺動脈カテーテル留置に近いイメージだが,処置に伴う観点からは頭蓋内圧モニタリングの方が侵襲度は高いと解釈することもできる.
頭蓋内圧の評価に迷う場合は,TCCFIでの頭蓋内圧の間接的評価を行うこともできる.
その結果,症状が出現する前後評価やCTのタイミングなどの評価が行えると推測される.
頭蓋内圧が亢進すると脳血管は圧迫され,虚血に陥る.
その際の虚血の評価も可能である.
一方でくも膜下出血の場合は,遅発性脳虚血も主要な合併症の1つである.
くも膜下出血の場合は,脳血管攣縮と呼ばれる事象に伴い虚血に陥る.
虚血に陥れば脳梗塞と同様に,広範な場合は後遺症の問題や生命予後への影響も懸念される.
これらを早期にモニタリングを行い介入までの時間を短縮させる可能性があるのが,頭蓋内超音波(TCCFI)である.
TCCFIの場合は,心臓超音波で使用されるセクタープローベを使用し,モードをTCDなど頭蓋内評価専用にすることで測定が可能である.
Neuro ICUまとめ
一般的な水分管理に加え,頭蓋内にフォーカスした超音波検査を行う事で遅発性脳虚血や頭蓋内圧の推定を行うことが可能である.
これは循環器領域の肺動脈カテーテル同様に,ゴールドスタンダードである頭蓋内圧モニタリングの推定に用いることでより迅速な対応が可能となる.