結論
- 新聞は効率的に情報を収集しやすい
- 大きなタイトルがあり、重要なことはたいてい先に書いてある
- 一方書籍は、どこが大事なのかは一見分かりづらい
- 新聞の情報収集と、論文の情報収集は類似している
はじめに
リベ大の両学長が、こんな動画をYotubeにアップしていました。
両学長の知識は、膨大かつ毎日のように動画をアップし続けています。
どのように、それらの情報を収集するのかというところは、興味のあるところです。
情報収集能力は、どの職種においても重要です。
あたりまえですが、ポイントは使える知識を仕入れるということです。
知識は、何のために収集するのかというと、いろんな理由があります。
単純に、知りたいからということでも良いでしょうし、仕事をカイゼンさせるためでもよいでしょう。
いろんなことを知っているけど、実践能力が全ない人の成果は「ゼロ」です。
知識は、実践するためにあるという前提からはじまります。
動画をなんとなくみていて、とても参考になりました。
情報をいかに収集するか
繰り返しますが、情報は使うためにあります。
使えない知識の集積は、趣味の範囲内であればよいですが、仕事の成果に関連したものでは「使える知識」こそが重要です。
本屋や図書館にいくと、自らの無力さに苛まれます。
例えば、医学コーナーだけでも、例えば専門が循環器だった場合、循環器関連の書籍ですら全て読むことはできません。
さらに、医療とは専門の領域だけで完結するわけではありません。
循環器に加え、呼吸器、腎臓、消化器などなど、習得すべき情報は膨大です。
書籍だけではなく、論文ですら関連領域だけでも、毎日膨大な数の論文がアクセプトされています。
とうぜん、それらの論文を全てチェックすることはできません。
まずは、広く浅く使える知識を集積することが第一です。
まずはトピックスだけでもチェック
この動画では、新聞の読み方にも言及されています。
新聞の文字数は、20万字で新書2冊分の情報量があるそうです。
当然、毎日すみからすみまで読み続けることは、常人には無理です。
さらに新聞は、会社の方針によって報道内容が異なってきます。
商業誌ですので、当然です。
例えば、自分の会社に関連した不利益な情報は掲載しませんし、掲載したとしてもその妥当性には疑問符がつきます。
池上彰さんは、10誌以上読んでいるようです。
当然、全部すみからすみまで読めません。
とはいえ、新聞の場合はある程度パターン化しています。
この辺にこんな情報があって、重要な情報はこの辺に、みたいな感じです。
まずは、タイトルと冒頭を読めば、専門領域以外のことも理解できるように創られています。
医療系論文もおなじようにチェック
新聞がパターン化されているという観点からは、論文も同じです。
論文の場合は、新聞よりもさらにパターン化されています。
論文は、IMRADといって、イントロ ー メソッド ー リザルト ー ディスカッションの4つを中心に形成されます。
そして、論文にはほとんど全ての論文で、要旨がフリーで読むことができます。
要旨には、背景 ー 方法 ー 結果 ー 結論の4つを中心に記載されます。
この4つは、極限まで論文をサマライズされています。
なんなら、結論だけ読めば最低限の結果は得られます。
タイトルと結論だけ読めば、なんとなくわかります。
個人的に要旨の場合は、タイトルをみて結論を読んで、結論の根拠となる結果をみて、その後メソッドを読むという変な読み方をすることも多いです。
結局、興味を持った論文では(少なくとも要旨には)、ある程度目を通さなければいけないのかもしれません。
こんな感じで、論文をたくさんチェックしていければ必要な知識も広がるような気がしました。
冒頭にも書いたように、知識は使わなければ意味のないものになってしまいます。
専門家であれば、論文の批判的吟味のためにAppendixなどもチェックする必要があります。
しかし、使える知識としての論文情報の蓄積を目的とした場合、新聞を読む程度の読み方でないととても読み切れません。
使える知識とは
医療において「使える知識」とは、「行動を起こさない」という選択がほとんどです。
95%程度は、行動を起こさないための知識の蓄積ということになります。
どういうことかというと、臨床実践を根本的に変えるような研究結果はほとんど無いからです。
そもそも、メジャージャーナルにランダム化比較試験での有用性が報告された場合であっても、臨床実践を即変更するほどのインパクトがあるかと言われると微妙です。
臨床のインパクトを変えうる研究結果は、たいてい追試が行われます。
また、ランダム化比較試験以前にはいくつかの観察研究なども、通常行われています。
臨床実践にはある格言があります。
「First do not harm」です。
まず、有害なことをしない、ということは絶対的な前提です。
有害かどうかは、臨床研究の結果や臨床家が、たくさんの論文を読み込んだ結果により判断されます。
繰り返しますが、有用性のある論文がアクセプトされたとしても、その逆であっても、臨床実践を安易に変えるような研究かどうかは「様子を見る」という選択がときに正しいですし、個人的には最も妥当な選択であると思っています。
インパクトのある研究結果は実践してみたくなります。
現存するエビデンスを構築している研究結果は、多くの場合複数の質の高い研究により支持されています。
ガイドラインですら、推奨度は改定されるたびに変わります。
ガイドラインは通常、非専門家のためにあるとも言われていますので、専門家は専門分野周辺の研究を読み込んで、ガイドラインを先取りした戦略を実践しています。
一見、面白みのない戦略ですが、このような地道な結果により、臨床実践は変わり、その結果が患者さんに還元されることになります。
結果が全てですので、よくよく実践化の頭の中を透かしてみると、臨床実践での選択を行ったプロセスは膨大ということです。
プロの将棋棋士がだいぶ先の手まで読めるように、臨床家もプロですのでだいぶ先まで予測し、その判断には膨大な研究結果があります。
まとめ
- 情報は、効率的にあつめる
- 効果的に集めるには、タイトルと冒頭で解釈する
- その結果を、アウトプットすることが最も大事
- 臨床家の場合は結果的に、「臨床的実践を変えない」ために情報を収集していることが多い