結論
- 枠にとらわれない考え方が必要
- 医療職は、特に専門領域にこだわりすぎかもしれない
- 大事なことは、先を見据えることであり、患者さんの回復が主な目標
看護は看護に特化すべきなのか
答えとしては、「Yes」になります。
なぜなら、看護師は看護の専門家だからです。
看護の専門家であり続けるためには、看護の提供により質の提示を行う必要があります。
質の提示とは、看護実践の効果ともいえます。
看護実践の効果の測定は、時に困難です。
医療においての中心は、医師です。
医師の指示がなければ、医療職は何もできません。
検査のオーダーがなければ、レントゲンや採血を行うこともできませんし、薬の調剤もできません。
つまり、医師が良質に機能しなければ、これらの医療職は機能しなくなります。
Drs. Dr.とも言われる、麻酔科医や病理医なども同様です。
手術をしない外科医であれば、麻酔科医の出番はありません。
看護師に限りませんが、これらの医療職が主体的に機能することが医療における目標です。
主体的とは、他者に影響を与える行動実践ともいえます。
つまり、自律・自立への第一歩です。
近年、看護師特定行為により、看護師の主体性は向上していると思います。
とはいえ、まだまだ数が少ない上に、臨床実践の過去の概念を取り崩すのは容易ではありません。
だからこそ、まずは看護から離れた、診療看護師(NP)のような働き方は「あり」だと思っている立場です。
けれども、いつまでも看護から離れた実践を行うことは、わたしは非効率だと考えています。
看護の専門家が医学的な素養を学び、臨床実践を行い、その結果を看護に還元すべきだと考えています。
研究を行う上で看護研究しかしてはいけないのか
多くの看護師や医療職者が、疑問に思っているはずですが、看護だけ看護研究と呼ばれています。
つまり、看護師は看護における研究だけを行いなさい、という圧力が既にこの時点でかかっているといえます。
研究は研究ですので、看護研究「だけ」である必要はまったくないと個人的には思っています。
とはいえ、看護の成果を提示する必要もあります。
その場合も、研究の成果として看護の成果を提示できたという結論になるべきで、最初から看護研究というのはおかしいと思います。
つまり、自分たちで枠を創り、その枠の中だけで活動していては、いつまでたっても成長は高止まりです。
いろんなことに興味をもち、世界の看護師がどのような研究を行っているのかを見ることはとても大事なことです。
世界のメジャージャーナルには、看護師も活躍している医学研究もあります。
結局、世界を変えるためには、メジャージャーナルに掲載されるような研究結果を発表することが必要になります。
けれども、出来ることはたくさんあるはずです。
それが「主体的」ということにつながってくるはずです。
他人を動かそうとしても、てこでも動きません。
まさに「北風と太陽」の童話のように、自分からコートを脱ぐように戦略を立てることが必要です。
自分が変わることが必要ですが、自分が変わるためには自分を客観的に見る能力が必要です。
この自分を客観的に見る能力を、「メタ認知」と呼ばれています。
まさに、殻からはみ出した考え方は、メタ認知から始まるのではないでしょうか。
臨床実践における目的は、看護の展開ではなく患者さんの回復
医療における最終的な目標は、患者さんの回復です。
シチュエーションによっては、終末期の緩和ケアを専門とする場合もあります。
その場合は、患者さんと家族をトータルでアプローチする、Best supportive care(BSC)という介入が必要になります。
BSCの中の緩和ケアは、特にがん患者さんにとっては、標準治療とされています。
緩和ケア = 死 ではない、というのが近年の流れとされています。
書きながら感じましたが、タイトルに書いたように、医療の目的が患者さんの回復であるというのは、医療を一方向しか見ていない証左かもしれません。
患者さんにとっての目標を多職種で共有し、自分たちはどこまでできるのかという守備範囲というものがあります。
例えば、リハビリはリハビリスタッフが行い、栄養は栄養士が行い、といった感じです。
けれども、これは極端な言い方ではありますが、点にすぎません。
リハビリを1日30分専門家のもとに行うよりも、自宅で生活したほうがおそらく、アクティビティは向上するはずです。
そのため、専門家は自宅にいるよりもより専門的な介入が必要になります。
先程書いた、「点」を「線」にするためには、「看護」の能力が必要になります。
看護はそういう観点からは、宝の山とも言える状態かもしれません。
ブルーオーシャンというやつです。
日常の疑問があれば、調べれば世界中の誰かが同じような疑問を解決しているはずです。
けれども、その疑問の数が膨大になれば、いつか答えのない疑問にたどり着くことがあります。
それは、世界で初めての疑問かもしれませんし、世界中で同じ考えを持つ人がいたとしても、その成果を発表していないのかもしれません。
一番多いのは、自分の検索方法が悪いということなのですが、自分たちの業務に枠を設けず主体的に活動できる看護師こそが次世代の看護リーダーとなるべきです。
まとめ
- 看護の世界は、ブルーオーシャン
- 日常の成果は、どんどん世界に公表すべき
- 自分たちの「看護」はここまでという線引きは不要
- 疑問があって、誰も解決しようとしなければ、自分が動くしか無い