看護

看護師のプレゼンテーション

結論

  • プレゼンテーションで必要なのは「声」
  • 次に、端的であること
  • その次に、論理的である事
  • 形としては、イントロで結論-ボディ-まとめの順に

 

プレゼンテーション

 

プレゼンテーションには、様々なプレゼンテーションがあります。

例えば、S.jobsの様な完全に作り込まれたプレゼンテーションがあります。

一方、多くの職業では、日常でプレゼンテーションを行うことになります。

多くの職業の代表の1つが、医療業界です。

 

その時の状況により使い分ける

 

例えば、目の前の患者さんが死にそうな時は悠長にプレゼンテーションをしている場合ではありません。

といいつつも、応援に来てくれたスタッフにこの患者さんの状況を伝える必要があります。

状況は、緊急事態です。

そんな時に、1分も2分も待っている暇はありません。

そんなあなたに与えられた時間は、約20秒です。

20秒あれば、その患者さんの状況が何となくわかります。

 

20秒で状況はどこまでわかるか

 

緊急事態では、この患者さんがなぜこの様な緊急事態になっているのか、どうしてほしいのかを端的に伝える必要があります。

例えば、冠動脈危険因子を持つ68歳男性、突然の胸痛を訴えた後の卒倒で、心室性不整脈による急性心筋梗塞を疑っています

となれば、ある程度チーム内に情報は共有されます。

もしくは、急性心筋梗塞を疑っています、という結論を述べてから、冠危険因子を持つ・・・とBodyを構成してもよいでしょう。

基本は、Intro-body-conclusionです。

とにかく、端的かつ論理的であることが重要になります。

ここまででは、疑いの状態で止まっていますので、次に何をすべきかも伝える必要があります。

心電図モニターを装着し、心室性不整脈が確認できれば、除細動を行います。

と、チーム内で次に行うべき事項を共有します。

救急の場合は、リーダーが必ずいますので、リーダーに伝えてリーダーに進言して、リーダーから指示をもらいます。

 

診断をメインとしたプレゼン

 

これは、最も一般的(普通の入院症例)なプレゼンテーションになります。

まず、結論です。

80歳女性の尿路感染症の患者さんです、がイントロになります。

ここで診断名を言うことは、とても重要です。

診断とは、神の領域ですが、その神の領域に近づくために人間が恣意的に決めたものが診断になります。

つまり、その診断名を伝えることで、どんな状況なのかがある程度推測されます。

例えば、急性心筋梗塞で、とか結石性腎盂腎炎で、とか細菌性髄膜炎で、などのキーワードであれば「やばい」と思う(思わせる)のが大事です。

プレゼンは適切な診断名を伝えれば、7割はプレゼンは終わりです。

それだけ診断とは、恣意的なものであるにも関わらず、誰がみてもおおむね同じ情景をイメージできます。

後の補足は、その診断周囲を補足してあげることと、診断の妥当性になります。

例えば、意識障害を伴う尿路感染症と、発熱を伴う尿路感染症ではどちらがよりやばいと考えるでしょうか。

セプシスの入り口は、qSOFAでしたので、意識障害があるということは、多臓器障害があるという前提になりますし、セプシスであるということになります。

つまり、ただの感染症なのか、セプシスを伴う感染症なのかでその後の動きは、比較的ガラリと変わることになります。

 

背景情報

 

この患者さんの診断はわかりました。

この人は普段どんな生活をしているのかも重要です。

たとえば、PSとよばれるパフォーマンスステータスというものがあります。

PSが悪ければ化学療法を受けられない場合が生じます。

そのくらい、普段のADLは重要です。

特に高齢者の場合は、フレイルの状態にありますので、普段のADLをここでプレゼンします。

例えば、認知症の既往歴をもつ、ADL杖歩行程度で、妻と2人ぐらし、要支援1の85歳男性、といった感じです。

背景情報が加わると、診断(Desease)というモノでみていたものが、疾病(Illness)に変わります。

つまり、診断とはいろんな人に共通しているものですが、その診断に背景情報が加わることで、その人が浮かび上がってきます。

ここで背景情報があることで、治療後の目指すべき目標も見えてきます。

誤嚥性肺炎であれば、普段の食事形態なども付加するとよりよいでしょう。

ここでは、ROSと呼ばれる重要な陽性所見と場合によっては重要な陰性所見を織り交ぜることが重要になってきます。

 

あとは、身体所見と検査データ

 

ここでは、主なバイタル、有用性のある身体所見・検査所見を簡単にプレゼンします。

例えば、バイタルは発熱と低酸素血症、血液データでは炎症所見と低Na、胸部CTでは両側下葉に浸潤影といった具合にプレゼンすれば、肺炎だということがわかります。

両側下葉の浸潤影を伴うということは、背景情報で誤嚥の可能性が高ければ、誤嚥性肺炎と判断することも可能になります。

 

最後に診断名と入院の目的

 

ここで診断名をもう一度いう理由は、診断の根拠を述べて来ましたので、その整合性を確認する意図があります。

入院の目的は、誤嚥性肺炎であれば、嚥下機能評価ならびに抗菌薬加療目的に入院、といった感じです。

侵襲的処置を予定している場合は、NSTE-ACSの診断に伴い、明日予定でのPCI(カテーテル治療)目的に入院などです。

まとめ

 
  • プレゼンは、型が大事。
  • 空手の様に、右手と右足が同時に出るのと同じ。
  • プレゼンには、診断の根拠を可能な限り織り交ぜる
  • いらない情報は、全てカット
  • 声は、大きく
  • なるべく流暢に
  • 事前にわかっている場合は、必ず準備をする
  • まず、年齢性別と診断名があるとよい
  • つぎに、背景情報(ADL、生活状況、介護度、診断名によっては喫煙や既往歴など)
  • ざっくりとした経過(ここでは、受診日を0として、入院○日前で統一する)
  • バイタル・身体所見・検査所見
  • 診断名、入院の目的

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