結論
- 仕事を効率的に行うためには、働く「量」を増やすのではなく「質」のカイゼンが重要
- 非効率な働き方は直ちに改めなければ、非効率 x 人数 x 時間分の無駄が生じる
- つまり、効率的な働き方とは「知恵しぼり、それを実践する事」である
コロナ渦における働き方
特別Covid-19(通称コロナ)に限ったことではありませんが、仕事というのは効率的に行うべきです。
つまり、躰ではなく「あたま」を使うことが必要、ということになります。
躰を使うことがどういうことかと言うと、決められた体位交換を時間になったから行うような行為のことです。
一般的に寝たきりの患者さんの体位交換は、2時間おきというのが定番です。
ところが、この2時間の体位交換に特別な根拠はありません。
当然、マットレスの影響も大きく病院で採用されているマットレスの場合だと4時間毎でも良いとされています。
2時間毎と4時間毎だと、単純に看護師の負担は2時間毎に行う場合は、倍に増えることになります。
これが、本当に必要な場合、看護師の躰を使った介入は必要ということになります。
けれども、その根拠も不明確なまま、過去のルーチンに従い同様の行為を続ける行為は思考停止に等しいと感じます。
この記事を書いている時点で、Covid-19は猛威を奮っています。
病院には、人工呼吸を要するような重症患者しか入院できなくなってしまいました。
当然、病院側としては多忙さは増加します。
つまり、業務を「考える」には良い機会であると言えます。
Covid-19における看護の大変さ
いわゆるコロナ患者さんのゾーンに入るためには、ガウン・マスク・手袋・アイガード・帽子の5点セットが必要最小限で必要とされています。
この個人防護具の必要さは今後軽減される可能性もありますが、現時点ではコロナと対峙するためには必要最小限のプロテクションとされています。
ということは、病室に入るだけでも少なくとも1分程度はかかります。
コロナゾーンに入ってからは、早々簡単に外に出ることもできません。
患者さんが増えれば増えるほど、効率化が課題になってきます。
例えばリアルタイムでの電子カルテへの入力ができなれけば、電子デバイス導入の意味はなくなります。
さらに、遠隔からでもその情報を共有できなければ電子デバイスを導入している意味がなくなります。
医療系、特に高齢の看護師は電子デバイスに弱い人が多いように思います。
そうでない人もたくさんいますが、電子カルテを使うということは、電子カルテ「移民」世代にとっては現代ですら、紙カルテがベースとなっている元凶であるような気がします。
一方、最近の看護師は電子カルテ「ネイティブ」世代ですので、それが当たり前です。
ところが、古典的な電子カルテ「移民」世代の先輩から踏襲される古典的な風習を「教わる」のは効率的な仕事から離れてしまう可能性が生じます。
ありがちな陷阱(かんせい)
陷阱とは、落とし穴(Pit fall)のことです。
例えば、躰を動かさなければ働いた気がしないというのは、過去の遺産かもしれません。
たとえば、看護師が行う清拭も毎日必要なのかは疑問ですし、必要時期の再考も必要かもしれません。
とはいえ、特に重症患者の場合、個人的には全身清拭を毎日行うことで全身の観察が行えますし、筋力や鎮静など様々な「情報」を得ることができますので、毎日行ったほうが良いとは思っています。
このように、リスクベネフィットを考慮して必要なリソースを必要なシチュエーションに注ぐ事が必要になります。
Covidの重症患者のなかでも最重症の患者さんには、腹臥位療法という治療法が選択されます。
単純に体位療法ですので、うつ伏せ(腹ばい)になってもらう治療法です。
これは、元気な人の場合は比較的容易なのですが、鎮静、さらには筋疾患を使っている場合で、様々な点滴、気管挿管、さらにはエクモ(ECMO)と呼ばれる人工肺など様々なデバイスが留置されています。
そのため、このような重症患者さんに腹臥位療法を行う場合は、最低でも6-7人の人員が必要になります。
腹臥位療法の時間は16時間が標準的とされていますので、これを朝夕毎日必要性(肺傷害の程度に応じて)に応じて行うことになります。
エクモ中の腹臥位療法に関しては、明確な根拠に乏しいとされています。
果たして、多大な労力に見合うだけの結果が提示できるのかは、現段階では未知数と言わざるを得ません。
ということは何が必要か、と言われると、データを蓄積していくことが必要になります。
腹臥位療法を行った場合とそうでない場合で、死亡率やエクモ・人工呼吸器装着期間などを「見直す」事が大事な姿勢です。
力任せに、良いと言われているから行うではセンスが問われます。
災害モードとなっているこんなときだからこそ、必要なリソースを必要に応じて采配する能力こそが大事なことなのかもしれません。
つまり、躰を動かすことで満足しているようでは、今後の発展は難しいのかもしれません。
まとめ
- 「考える」事を大切にする
- 「考えた」結果を、実践する
- 電子デバイスなど、使えるリソースは最大限に活かすことで、自分たちが安全に働けるようにする