Contents
聴診器の歴史
Wikipedia情報
- 1816年に聴診器の原型が発明された。
- その後トラウベ型を経て、1829年に胴体部分がゴム管となった。
- 1855年には、双耳管となり全世界へ広まった。
その後、現代でも名前が残っているラパポートやリットマンらにより改良がなされ、1967年に小型化され、現代の聴診器が長らく使用されてきているとされています。
聴診器の原型は約200年前に開発
現代から約200年前に聴診器の原型が開発され、双耳管となった現代の聴診器とも言える形になってからは、150年以上も前の事であると言えます。
この間、聴診器は多少の進歩を遂げてはいますが、基本的な仕様としては大きな変化もなく、長らく使用されてきているものと言えます。
これは、医療が日進月歩といわれて久しいですが、現代でも医療者にとっての重要な診療の武器であることに間違いありません。
これは、例えば車も同様に4輪でエンジンにより進むという基本的な原型をとどめつつも、現代では進化を遂げつづけているのと同様であるとも言えます。
聴診器の種類
聴診器と言えば、医療現場を代表するグッズの1つです。
聴診器には色んな種類があります。
おもちゃの聴診器でも、聞こえないことは無いのですがその音質が全く異なります。
スピーカーで最も安価なものと、BOSE®などの有名なブランドのものくらいの違いがあります。
電子聴診器
デジタル聴診器は、聴診器界における最高級機種です。
聴診器なのに、電池が必要になります。
これは、必要な音を増幅させたり、録音したり、脈拍数を測定したりと様々な機能を持つためです。
価格は、Amazonでは見つけられませんでしたが、6万円を超える商品のようです。
例えば、魚釣りやスノーボードやサーフィンや自転車などの趣味の世界では、最初から最高級のものを使用しても、技術が追いついていませんので、その恩恵に預かることはできません。
聴診器は、趣味で使うことはなく本業で使用されますが、本業とはいえ最初から聴診の技術があるわけではありません。
そのため、最終的にお金はかかってしまいますが、そこそこの聴診器から始めることをおすすめします。
そして、やっぱりこの電子聴診器が欲しいと思えば、購入すればよいと思います。
ただし、高価なものですので技術に見合ったモノである必要があります。
ある程度の技術がついてきた後に使用することで、聴診における身体診察の幅が広がります。
ちなみに、わたしが出会ったなかでこの聴診器を持っている人は、身体診察の能力が極めて高い人が多かった印象があります。
個人的なバイアスにはなりますが、この聴診器を持っている人は、できる人である可能性が高いと言えます。
デジタル聴診器は、長らく続いてきた聴診器に変革を与えたと言ってもよい商品です。
ただし、聴診器に代わる診断のデバイス(CTなどの画像デバイス)の台頭もあり、それほど使っている人はいないのが現状です。
また、そもそも聴診器の原型をとどめていないデジタル聴診器もあります。
日本円で約7万円と高価ですが、この聴診器を使用している人は1人しかみたことがありません。
傍からみれば、音楽を聞いているようにしか見えません。
2又のタイプ
チューブが二股に分かれているものは、聴診器の中でも高価なものが多いです。
例えば、リットマン®という会社のものではチューブは1つに見えますが、実は中では2つに分かれています。
これは、1つの音をそれぞれの耳で聴くことで、微細な聞き分けのために必要だからそうしているのだと思います。
実際、チューブが1つものと2つのものとでは、より音の聞こえ方が伝わってくる様に感じます。
とはいえ、基本構造は同じですので、自分の耳にフィットするもので気に入ったものを選択すればよいのだと思います。
最も一般的な聴診器
これは、双耳管ですが患者さんと聴診者の耳をつなぐ管は、1本です。
1本なので、細いものが多いです。
細いので軽いのはよいのですが、肩にかけるとずれてしまいがちです。
とはいえ、軽いので肩にかかる負担は減ります。
看護師さんは、ほとんどこのタイプを使用しています。
人気の聴診器
聴診器の世界も、いくつかのブランドがあります。
そのなかで、よく使用されているものを紹介します。
リットマン
医療者のリットマン使用率は、多分9割を超えるんじゃないかと思います。
9割超えは言いすぎかもしれませんが、とにかくほとんどの人がこのリットマンを使用しています。
先に書きました、Wikipediaの情報ではリットマンは現代における聴診器の開発者です。
このような形で、故人の名前が受け継がれることは個人的に良いことだと思います。
ラパポート
ラパポートも同じく、聴診器を開発した1人です。
ラパポートは実は、病院で使用している人は少ないです。
特徴的なのは、商品にもよりますがチューブが2本あるということです。
その分かさばります。
チューブが2本あるということは、消毒も少しやりづらいです。
とはいえ、個人的にはこのデザインは好きなので、似たようなものを使用しています。
好きというよりも、他者があまり使用していないというのもあります。
ということで、ラパポートを選択する人は他人と同じものは嫌という人も一定数いると思います。
ウェルチアレン
ウェルチアレンも多分人の名前なのでしょうが、名前の由来は知りません。
耳鏡や眼底鏡はよく見かけますが、聴診器となるとラパポートよりも少ないかもしれません。
特徴と言われても、わかりませんが特に普通の聴診器だと思います。
種類にもよりますが、ベル型と膜型が2つついているものがあります。
つまり、合計3種類の聴診が可能です。
これも他者と同じものを好まない人にとっては、選択肢に入ると思います。
ケンツメディコ
この商品は、比較的高額商品のようです。
使っている人は、何度かみたことがあります。
とくに、デザインもシンプルですので、お金に余裕がありデザインが気に入った人は使ってみても良いのだと思います。
とはいえ、この商品を選択する機会があまりないのが現状です。
聴診器の紛失
聴診器の紛失は、病院の7不思議の1つです。
とくに医師は、必ずと言ってよいほどなくします。
というのも、医師は手技などを行う際にどこかに置き忘れたままのことがあります。
看護師さんは、忘れていれば声を掛けますが、誰の聴診器なのかわからない場合もあります。
そもそも聴診器は、大々的に名前が書けませんし、刻印しても小さいので気づかないことがあります。
といった感じで、聴診器はなくなります。
普通はどこかに置き忘れて無くなるのですが、結局見つからないことがよくあります。
どこかにあるのでしょうが、結局新調することになります。
聴診器なんて、家に持って帰っても使う機会なんてありません。
また、中古品をつかう人なんてみたことありません。
ということで、七不思議の1つです。
肩からかけるのは正しいのか
聴診器は、一般的に肩からぶら下げるのが最も使いやすいです。
けれども、汚染の問題からあまり好ましくないという人もいます。
ましてや、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)では聴診自体を行わなくなりましたので、これからの聴診器の在り方が問われるのかもしれません。
医療者は患者さんに触る前と後は少なくとも、手洗いを行っています。
しかし、聴診器の場合はアルコールなどで拭く必要がありますので、手洗いに比べると習慣化されているとは言い難いです。
ましてやその特性上、聴診器は必ず患者さんに密着して使用しなければなりませんので、本来は絶対拭いたほうがよいのです。
ただし、清潔の観点から肩にかけるのが完全に悪いのかといわれれば、そうでも無いように思います。
患者さんを診察する度に、アルコール綿での清拭を行うことで、ある程度の清潔と身体診察における必要な情報の収集は行うことが可能です。
このあたりは、バランス問題ですので、可能な限り感染症伝播を予防しつつも、必要な身体所見は収集する必要があります。
そのため、現時点では診察毎に消毒を行うということが最も実現可能性の高いプラクティスのような気がします。
たとえば、肩からぶら下げているのを嫌う人もいますが、ポケットに聴診器を入れたところで感染症伝播のリスクが変わるとは思えません。
とはいえ、肩からぶら下げると重いし、時々落としますので良いものとは言えません。
先に紹介した、電子聴診器であればポケットに入りますので、これからはポケットサイズの電子聴診器が台頭してきたほうが色んな意味でよいと思います。
ただし、電子機器を介さない聴診も、これはこれで今後後世に伝えていく必要のある診察技法です。
オススメの聴診器
ということで、聴診器はこわれますし紛失のリスクもあります。
3万円もする聴診器を無くすのは、痛手ですので極力紛失は避けたいです。
とはいえ、ゼロにすることはできませんので、個人的には極力安くて長く使えるものがよいと思っています。
他のものでは、高いものを基本的には使用しています。
安いものは、質が悪いことが多いからです。
そういう観点からは、聴診器も高価なものを長く使うのが良いのでしょうが、毎日アルコールで拭いっているとそのうちゴムも固くなってきてしまいます。
3−5年が目安かなと思います。
これだと4000円ですので、年間1000円程度になります。
このあたりは、色んな考え方がありますが、個人的には他のテキストなどに回したほうが良い気がしています。